研究課題/領域番号 |
22320102
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田地野 彰 京都大学, 高等教育研究開発推進センター, 教授 (80289264)
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研究分担者 |
寺内 一 高千穂大学, 商学部, 教授 (50307146)
飯島 優雅 獨協大学, 経済学部, 准教授 (50337838)
高橋 幸 京都大学, 高等教育研究開発推進機構, 准教授 (50398187)
金丸 敏幸 京都大学, 人間・環境学研究科, 助教 (70435791)
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キーワード | 教授法 / カリキュラム論 / アカデミックライティング / EAP / 評価 / フィードバック / CEFR / インストラクショナルデザイン |
研究概要 |
英語学術論文作成技能に関する評価指標の構築に向けて、平成23年度は以下の4点を行った。 1.能力記述文の分析:収集した資料を基に、平成22年度に続きアカデミックライティングに関する能力記述文を分析した。その結果、成果物としての論文の質に係る表記が多く、その質を充足するために何をどの程度実現すればいいのかの基準が不明確であるという課題が明らかとなった。また、論文を生成するまでの過程に言及する記述は少なかった。これらの課題を解決するような評価指標の構築が求められることがわかった。 2.評価指標の構築と有用性及び妥当性の検証:186名の学生のレポートを基に評価項目の妥当性を検証した。レポートを3名の評価者に構成要素ごとに評価指標を参照しながら5件法で評価させ、その結果を一般化可能性理論によって分析した。その結果、評価者間のばらつきがなく、評価指標は妥当であることがわかった。一方、評価者に「内容」や「引用」に関する基準の不備を指摘された。 3.Criterion(R)による評価の妥当性:人手による評価と共に、学生のライティングの特徴や誤用の傾向、レベルを明らかにするため、Criterion(R)を用いてエッセイを分析した。これにより、評価指標のレベル設定の改善に結びつけるデータを収集することができた。 4.フィードバックのあり方に関する実証研究:Criterion(R)を利用する過程において、Criterion(R)のフィードバックが学習者の技能面と情意面に与える影響について分析した。その結果、Criterion(R)によるフィードバックは、語彙や文法使用の正確性や正書法、総語数と総文数、そして論理展開の明確な文章構成といった項目の修正を促し、英文産出の質的な向上につながることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
英語学術論文技能に関する評価指標の妥当性を検証するためにライティングテストをオンライン上に開発し実験する予定であったが、Criterion(R)を利用することにより独自にオンラインテストを開発する必要がなくなり、アンケートや学生のレポートの分析に十分な時間・費用・人手をかけることが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
(1)評価指標に関する研究の深化:昨今、様々なプロジェクトで日本版CEFRの開発が進められている。そのような研究動向を参考にし、評価指標に関する研究をさらに深める予定である。 (2)フィードバックに関する研究の追加:本課題を進める過程で、評価指標に基づくフィードバックのあり方が活発に議論された。当初計画案では含まれていなかったが、英語学術論文の育成には不可欠と考え、フィードバックの研究を進めることとした。 (3)自律学習支援システムのプラットフォームの検討:最終年度に、自律学習を支援するシステムの開発を予定している。システムのプラットフォームとしては、研究代表者が所属する大学内で運用されているシステムを想定していたが、ライセンスの問題等解決すべき問題があり、何を利用するか検討を進めている。
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