研究課題/領域番号 |
22320109
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研究機関 | 文教大学 |
研究代表者 |
平川 眞規子 文教大学, 文学部, 教授 (60275807)
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研究分担者 |
SNAPE Neal 群馬県立女子大学, 国際コミュニケーション学部, 准教授 (10463720)
岡本 能里子 東京国際大学, 国際関係学部, 教授 (20275811)
福田 倫子 文教大学, 文学部, 准教授 (20403602)
平川 八尋 東京工業大学, 留学生センター, 准教授 (40218772)
成田 奈緒子 文教大学, 教育学部, 教授 (40306189)
細井 洋伸 群馬県立女子大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (40331946)
MATTHEWS John 中央大学, 文学部, 教授 (80436906)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 第二言語習得 / 言語喪失 / 外国籍児童 / 文法発達 / 言語保持 / 英語 / 日本語 / 言語間転移 |
研究概要 |
本研究は、第二言語(L2)の習得が及ぼす第一言語(L1)(母語)への影響、L2の保持や獲得不全、L1の喪失に関わる普遍的および個別的な資質や要因を明らかにし、学習者の言語発達を促進する教育・支援体制について社会に提言することを目的としている。研究3年目にあたる平成24年度は、初年度以降に開始した縦断的調査を継続すると共に、横断的調査も実施した。主な成果は以下の通りであるが、調査内容は、日英語を中心とする語彙、文法知識(冠詞の意味、動詞のテンスとアスペクト、尺度含意(Scalar Implicature))、音声知覚、ワーキングメモリ、談話能力等多岐にわたる。 1. 英語圏に長期在住し日本に帰国した児童・生徒10名を対象に、L2(英語)の音声・文法・語彙等の能力に関する調査を半年に1度の割合で行い、L2の保持と喪失について調査した。最大4回の調査を行ってきたが、その成果の一部として、テンス・アスペクト(動詞の進行形と単純形に伴う意味の相違)と冠詞(総称の意味)の習得は困難であることを、国際学会で発表した。 2. 外国籍(主に中国とフィリピン)の日本語をL2とする学習者12名を対象に、母語の保持と喪失およびL2の習得に関する調査を半年に1度の割合で行った。既に3回の調査を終了しているが、L2については概ね能力が伸びているが、L1の認知力については伸びた生徒と減少した生徒がいた。 3. 日本語およびスペイン語をL1とする英語学習者を対象に行った音声知覚、冠詞、テンス・アスペクト、心理形容詞等の文法知識に関する調査結果の分析を行った。その成果の一部として、英語の心理形容詞のうち1種類(-ing形)は、スペイン語話者も日本語話者も習得が困難であること、また英語の分節音や異音の識別にL1の影響があることを、国際学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
帰国児童・生徒のデータ収集および外国籍生徒の言語データ収集は、本人および学校や保護者の協力により、予定通り、半年に1回継続的に収集できている。発話データ等については、文字起こしやその分析が予定よりやや遅れているが、他の調査の分析はほぼ予定通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
過去3年間で行ってきた言語発達・言語喪失に関わる実証的研究を継続し、縦断的データを蓄積するとともに、横断的なデータの収集・蓄積も行う。本年度は研究の最終年度であるため、蓄積されたデータを基に、本研究の目的であるL2の習得が及ぼすL1への影響、習得が困難な文法項目や領域の特定化、L1やL2の保持や獲得不全に関わる普遍的および個別的な資質や要因を明らかにすることを目標とする。多角的な分析を行い、研究の総括を行う。研究の成果は、順次、学会等で発表するとともに、学術雑誌等へも投稿予定である。さらに、研究成果を広く公開し、社会への提言も行えるようシンポジウムなどの開催を計画している。
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