研究課題/領域番号 |
22320111
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
松本 佳穂子 東海大学, 外国語教育センター, 教授 (30349427)
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研究分担者 |
小山 由紀江 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (20293251)
大野 秀樹 大東文化大学, 経済学部, 准教授 (40343628)
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キーワード | クリティカル・シンキング / 異文化対処能力 / Can-doリスト / 外国語教育 / 到達目標 / 評価基準 / パイロット実験 / 妥当性の検証 |
研究概要 |
本年度(第二年目)の目標は、初年度に収集した北米・ヨーロッパのクリティカル・シンキング及び異文化対処能力の評価基準やツールを基に作成した網羅的なCan-doリスト(初版)について、その項目が、様々な言語、授業・カリキュラムの種類、教員・学生の特性に対して現実的な使用に即したものになるよう実験と検証を重ねることであった。同時に、構成要素を普遍的なものと言語や授業の種類によって変わる周辺的なものに分け、普遍的な項目については、パイロット実験の結果から記述の精緻化、レベルの調整を行った。周辺的な項目については、英語と留学生向けの日本語教育の4つのタイプの授業(スキル中心の初年次授業、専門的リーディング、アカデミック・ライティングと専門科目)でパイロット実験を行い、妥当性・適合性を詳細に検証した。フランス語とドイツ語の授業についてはまだ準備段階である。 パイロット実験に於いては、Can-doリストを基に、到達目標の自己チェックリスト、シラバスに適合するような教材、そして教員が到達度を客観評価できるような評価ツールを体系的に開発した。その過程でかなり普遍的項目と周辺的な項目を識別することができたが、実際に授業で使用してみると、項目間にかなり重複があること(特にクリティカル・シンキングと異文化対処能力の項目間で)が分かって来たので、それを修正しつつ実験を行った。教員と学生へのアンケートの結果は概ね良好であったが、データ分析をすると、自己チェックリスト、教材、評価ツールが必ずしも同じ能力の構成要素を代表・評価していないという妥当性の問題が明らかになった。よって到達目標・評価基準のベースとなるCan-doリストの項目を十分に反映・体現した教材を作る努力を重ねた。更に、上記のパイロット実験の結果を受けて、Can-doリストと評価ツールを更に修正・調整し、授業のタイプに応じたモデル化に着手した。 次年度は更に他の外国語の授業をパイロット実験に加え、どのようなクリティカル・シンキング、異文化対処能力をどのようなレベルやタイプの言語指導に統合するのが効果的で、より大きな学生の伸びにつながるかという最適化に関する検証を始め、指導方法を含むモデルを構築して行く。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
様々なタイプの授業でのパイロット実験を進めているが、開発した教材をドイツ語やフランス語に訳す作業が大変なため、その部分の実験が遅れている。しかし、Can-doリストの普遍的な項目についての検証とモデル化(最適化)については、英語と日本語の様々な授業で実験することによってかなりの知見が得られたので、その部分は計画より先に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
研究協力者にお願いして、Can-doリストのパイロット実験をするクラスの種類を更に増やして行く。フランス語やドイツ語などの他言語において上級の専門的なクラスを見つけるのがなかなか難しいため、他言語については初級、中級のクラスに合うように到達目標・評価基準を調整する(外国の大学の上級クラスを使うことも考えたが、日本の現状として、英語と留学生向けの日本語以外の外国語では、殆どの大学の目指すレベルが中級ぐらいまでであることを考慮し、日本の現状に合った目標・基準作成を目指す本研究の目標から、そういう方向性の調節を行うことにした)。
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