研究概要 |
2010年度は、(1)ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)についての意識調査、(2)言語教育履修生のための日本ポートフォリオ(J-POSTL)の教育現場への文脈化の試みと(3)現職教員調査を主に実施した。(1)の調査により、CEFRが、Can-doリスト、言語共通参照レベル、そして、複言語、複文化主義の認知にとどまっていることが明らかとなった。2)の目的は、J-POSTLの記述文を、実際の教育現場で受容できるように、可視化、透明化しようとした試みである。3)の調査は英語科教員の振り返り、成長のためのベンチマークを作成する目的で実施した。 2011年度は、(1)J-POSTL第1期径年調査、(2)初任者研修における調査と(3)現職英語教員のためのポートフォリオ(J-POTL)作成に向けて授業力Can-doリスト作成のための予備調査を行った。(1)の目的は、J-POSTLを複数の大学で使用してもらい、本ポートフォリオを有効利用できるような具体的方策を探ることであった。(2)は初任者の自己評価チェックリストとしてJ-POSTLが適当かどうかを1つの県の協力を得て実施した。(3)は、本研究会でまとめた授業力Can-doリスト78項目を現職教員に配布し、回答を得た。 2012年度は、(1)現職英語教員の授業力に関する意識調査と(2)J-POSTL第2期径年調査を行った。(1)は全国の全ての中等教育機関16,500校に送付し、5,658件の有効回答数という大規模な調査となった。その目的は、現職英語教員の「授業力の目安」を開発することである。この調査結果に基づき、最終案の作成に入ることとなった。(2)は、昨年度調査同様、全項目において、意識が有意に向上し、100項目が教育実習生の成長を図る目安として、一定の妥当性が担保されたと考えられる。
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