研究課題/領域番号 |
22320114
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
杉野 直樹 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (30235890)
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研究分担者 |
清水 裕子 立命館大学, 経済学部, 教授 (60216108)
荘島 宏二郎 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 准教授 (50360706)
大場 浩正 上越教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (10265069)
中野 美知子 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (70148229)
山川 健一 安田女子大学, 文学部, 准教授 (00279077)
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キーワード | 英語文法能力発達 / ニューラルテスト理論 / 能力記述文体系 / 言語テスト / 第二言語習得 |
研究概要 |
今次研究課題は、中学校・高等学校で学習する言語材料の内、文型・文法事項に焦点をあて、「それぞれの事項について何をどの程度習得していることで何ができるのか」を明らかにした能力記述文体系の構築を目指している。 2010(平成22)年度は、まず、分析手法としてのニューラルテスト理論(NTT)が持つ特性を明確にすることを目的として、文法性判断タスクから得られた同一のデータセットを、NTTと自己組織化マップ(SOM)とを用いて分析した結果を比較した。その際、これまでに同じデータセットから得られていた分散分析(ANOVA)・項目応答理論(IRT)を用いた分析結果も参照した。結果として、研究者が分析にあたって前提とする理論的枠組みや仮説に対するデータの適合性を重視するIRTやANOVAと、そうした前提を持たずに、データが持つ豊かな情報量を活かした記述を目指すSOMとでは、得られる分析結果が異なり得ることが示された。NTTはこの両者それぞれの長所を活かすことができる手法であると考えることができるため、能力記述文体系構築にあたり強力な道具となることが示唆された。 この結果を踏まえ、2004年度の大学入試センター試験本試験「英語」受験者のデータを用いて、実際にNTTを援用した能力記述文体系の構築を試みた。ランダムに抽出された40,000人の実受験者はその潜在的な能力特性に応じて10ランクに分類され、各ランクに属する学習者が到達している能力が記述された。結果、より低いランクに属する学習者群は口頭対話を題材とする項目群や図表などを用いた全体的な理解を問う項目群に対応可能であるのに対し、より高いランクに位置づけられる学習者群は、個別文法事項に対する項目や局所的に理解した内容を関連づけて回答することが求められる項目群にも対応できるようになることが示された。
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