研究課題/領域番号 |
22320118
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村井 章介 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (30092349)
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研究分担者 |
小島 毅 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (90195719)
堀川 貴司 慶應義塾大学, 附属研究所斯道文庫, 教授 (20229230)
伊藤 幸司 山口県立大学, 国際文化学部, 准教授 (30364128)
橋本 雄 北海道大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (50416559)
須田 牧子 東京大学, 史料編纂所, 助教 (60431798)
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キーワード | 日本史 / 東洋史 / 遣明使 / 遣明船 / 文化交流史 / 日明関係 / 史料研究 / 現地調査 |
研究概要 |
第一に、本研究がもっとも重点をおいている『策彦和尚初渡集』下巻の翻刻・講読作業は、22年度に引き続き年に2回、集中的に東京に集まって講読を行ない、本年度においては嘉靖19年(1540)1月12日~5月9日条までを読み切った。これで22年度と併せて全体の半分程度を読了したことになる。会で作成した凡例に沿って文字や読みを確定し、テキストデータを揃えることが、徐々にではあるが確実にできており、今後の公開に弾みがついたといえる。 第二に、当初予定していた、外交比較研究に関する全体的会合は、時間的・金額的制約から、ほとんど行なうことができなかったが、比較外交儀礼の観点から、研究分担者や研究協力者が検討をすすめ、メーリング・リスト(Email)などを通じて議論を深めている。日明関係のみならず、明と朝鮮、朝鮮と日本とのあいだで行なわれた儀礼の比較の結果が、近く、研究協力者の米谷均氏の論稿によって明らかにされる予定である。 第三に、本年度の現地調査は、日本遣明使の北京上京ルートのうち、山東省の運河沿いの諸都市を重点的に行なった。参加者のほとんどが山東省に足を踏み入れたことすらなく、史料を読んでいても地理がつかめず、読解に支障をきたしていたエリアである。2011年8月23日から31日にかけて行なった調査では、徳州・臨清・聊城・済寧などの諸都市をまわり、辛うじて残っている古黄河や駅跡と推定される場所などを確認し、読解上意味不明だった部分を相当程度補うことができた。また発掘したばかりの古運河遺構である?上南旺遺蹟を訪れ、運河及び周辺施設についての認識を深めることができたのは大きな収穫であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
外交比較研究についてはやや遅れがみられるが、基本史料である入明記の翻刻などは順調に進展しており、また現地調査もおおむね予定通りに進められ、成果を上げつつある。また、本研究課題の成果として、『遣明船入門』(仮題)という編著の刊行計画も平行して立ち上がっており、研究成果の社会への還元も近く果たせる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通りに研究(翻刻・講読作業;フィールドワーク;研究報告会など)を実施していきたい。また、メーリング・リスト(Email)等での連絡を密にし、ネット上の会議も催しつつ、本研究課題の終了後には、「11」の欄に示したような『遣明船入門』という成果還元物が刊行できるように、編集作成作業を平行して進めていきたい。 なお、本研究課題の内容・陣容に比して潤沢とはいえない財源をもとに共同研究を進めることは、非常に困難をともなうが、時勢上致し方ない面もあり、「もちだし」も含めて研究遂行に努力していく所存である。この他、研究を遂行する上での問題点はとくに存在していない。
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