研究課題
第一に、本研究がもっとも重点をおいてきた『策彦和尚初渡集』下巻の翻刻・講読作業については、予定通り、本研究課題期間中に終了することができた。具体的には、毎年2回、集中的に東京に集まって講読を行い、講読メンバーで作成した凡例に沿って文字や読みを確定し、基礎的な注釈を施したテキストを作成したものである。今後の課題としては、残る「下之下」巻、および『策彦和尚再渡集』について同様な作業をいかに続けるか、またこれまでに作成・確定したテキストの公開をいかに行うかなどが挙げられる。後者については印刷公刊・Web公開など、さまざまな具体化の方向を検討していきたい。第二に、当初予定していた、外交比較研究に関するワークショップ等は、時間的・金額的制約から、それのみで開催することが叶わなかったが、比較外交儀礼の観点から、研究分担者や研究協力者が検討をすすめ、それによっていくつかの研究成果を得られた(研究成果欄参照)。また不十分ながら、Email等で日常的に情報交換や議論を進めてきた。なお、次の第三項に掲げる遼東地域での現地調査は、比較史的検討の闕を埋める意味を持つ。第三に、本年度の現地調査は、2013年8月24日から9月1日、遼東半島方面で実施した。おもに、朝鮮から中国北京への朝貢使節(燕行使)の辿った陸路につき、基点となる地域・都市を辿っていく内容である。同時にこれは、過去3か年度に行なった日本の遣明使節の入朝ルート(揚州から北京を調査)との比較を企図したものと位置づけられる。具体的には、瀋陽・遼陽・丹東・大連等のほか、鴨緑江河口等も巡検し、明清時代・李朝時代の関連史蹟を辿り、その地勢や距離感等の把握に成功したものと思う。江南の浙江から、運河沿いに北上する遣明使のルートと異なり、乾燥した陸路を延々と辿る朝鮮燕行使の旅はさらに負担の大きいものであったことが推察される。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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日語日文学研究
巻: 88巻2号 ページ: 225-244
島尾新編『東アジアのなかの五山文化』
巻: ― ページ: 53/77
鶴見大学日本文学会編『国文学叢録 論考と資料』(笠間書院)
巻: ― ページ: 302/323
花園大学国際禅学研究所論叢
巻: 8 ページ: 49/70
東京大学史料編纂所紀要
巻: 24 ページ: 102/114
巻: 86巻2号 ページ: 155-173
森平雅彦編『中近世の朝鮮半島と海域交流』汲古書院
巻: ― ページ: 265/291
第50回中世史サマーセミナー実行委員会編『日本中世史研究のあゆみ』岩田書院
巻: ― ページ: 19/43
歴史学研究会編『歴史学のアクチュアリティ』東京大学出版会
巻: ― ページ: 65/85
荒野泰典・石井正敏・村井章介『日本の対外関係5地球的世界の成立』吉川弘文館
巻: ― ページ: 1/51
『岩波講座日本の思想第三巻内と外―対外観と自己像の形成』
巻: ― ページ: 45/83
鹿毛敏夫編『大内と大友』
巻: ― ページ: 479/514
歴史学研究
巻: 906 ページ: 25/55
禅文化
巻: 228 ページ: 25/33
平田茂樹・遠藤隆俊編、汲古書院『外交資料から十~十四世紀を探る』
巻: ― ページ: 141/170