研究課題/領域番号 |
22320123
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
樋口 映美 専修大学, 文学部, 教授 (80238287)
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研究分担者 |
貴堂 嘉之 一橋大学, 社会学研究科, 教授 (70262095)
日暮 美奈子 専修大学, 文学部, 准教授 (30384671)
岩井 淳 静岡大学, 人文学部, 教授 (70201944)
小野 直子 富山大学, 人文学部, 准教授 (00303199)
加藤 千香子 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (40202014)
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キーワード | グローバル化 / 社会思想 / 近代秩序 / 人種 / ジェンダー / 移民 / 優生学 |
研究概要 |
初年度の目的として掲げた1)「社会改良」の考え方が国境を越えて伝播する「浸透性」については、米国・ドイツ・日本・カナダの状況をそれぞれ考察することによって、各地域で「線引き」という類似した現象が存在したことを確認した。2)「人種」のありようについては、日本では明治時代から第二次世界大戦期にかけて展開した部落差別形成のプロセスにおいて「部落民」を「人種」として捉え、戦後の同化のプロセスにおいては「民族」と捉えようとしたこと、また米国では人種間の平等を示唆する「カラーブラインド」(肌の色を問題視しないという考え方)に実態としては多様性および多義性が存在することがそれぞれ検証されたことによって、「人種」についても複眼的な考察の必要性が判明した。3)「諸科学」の影響については、米国・日本・カナダにおける優生学思想を主としてとりあげ、各地域の差異に留意しつつ議論することによって、排除・包摂のあいまいなグレイゾーンに優生思想による線引きが揺らぎを伴って実践されていった実態を重視すべきことが判明した。これら初年度の試みは、「社会改良」の「浸透性」や「変遷」を全体的に検証する足がかりとなろう。 資料収集のための出張は、分担者の岩井・加藤(国内)・兼子・黒川(国内)・平体、連携研究者の高田、協力者の白川が予定通り実施した。また来年度出張予定であった代表者の樋口が、出張不可能となった協力者の高井に代わって急遽実施した。 合同研究会は、6月13日、9月23日(講師として細川道久氏を招聘)、12月26日(講師として藤野豊氏と水戸部由枝氏を招聘)の3回、予定通り実施し、充実した議論が展開した。 国際交流については、米国の州立大学University of North Carohna at Chapel Hill歴史学部との共催で、2011年9月にアメリカでのワークショップ、2012年6月に日本での国際シンポジウムを実施すべく、その実施準備作業を樋口が行った。
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