研究課題/領域番号 |
22320128
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉川 真司 京都大学, 文学研究科, 教授 (00212308)
|
研究分担者 |
藤井 譲治 京都大学, 文学研究科, 教授 (40093306)
勝山 清次 京都大学, 文学研究科, 教授 (30126966)
谷川 穣 京都大学, 文学研究科, 准教授 (10362401)
岩崎 奈緒子 京都大学, 総合博物館, 教授 (80303759)
山田 徹 京都大学, 文学研究科, 助教 (50612024)
|
キーワード | 古文書学 / 朝廷文書 / 文書作法 / 公家文庫 / 勧修寺文書 / 壬生家文書 / 古記録 / 儀式書 |
研究概要 |
平成23年度は、平成22年度に引き続き、(1)前近代朝廷文書の原史料の調査と整理・分析を行なうとともに、(2)前近代朝廷所文書に関する文献史料の収集と整理を開始した。 まず(1)については、京都大学総合博物館において勧修寺家文書および壬生家文書の調査・検討を行なった。特に勧修寺家文書に関しては、古文書・古典籍全点の調書作成およびデータベース化を完了し、前近代朝廷文書の体系を公家文庫の編成との関わりから理解するための基礎が構築できた。このほか宮内庁書陵部・東京大学史料編纂所・国立歴史民俗博物館・国立公文書館・無窮会専門図書館などで、壬生家文書・押小路家文書などの朝廷文書(原本・影写本)および朝廷文書に関わる史料の調査を行なった。これらは原本から朝廷文書を理解するための作業として重要である。 次に(2)については、今年度から『延喜式』および10世紀の古記録・儀式書を博捜し、朝廷文書に関わる記事を収集・整理する作業の第一歩とした。古記録は『貞信公記』『九暦』『吏部王記』『親信卿記』、儀式書は『西宮記』『北山抄』を対象とし、ついで『小右記』『江家次第』に入りつつある。この過程で、朝廷文書を体系的に把握するための史料整理の方法・技術について試行錯誤を重ねたが、おおむね穏当な方式を開発することができた。これによって朝廷文書の体系と名称、文書作法の検出・整理法に関する理解が深まり、次年度以降の作業の方向付けを行なうことができた。作業内容は電子データで集積しており、暫定版データベースとして活用している。 以上のような作業を継続しつつ、京都大学文学研究科・総合博物館において研究会を実施した。この場において研究の進捗状況・問題点を確認するとともに、「朝廷文書」概念に関する意見交換を行ない、通時的認識の獲得につとめた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
古文書原本の調査、朝廷文書に関する文献史料の収集とも、ほぼ当初の予定通りに進んでいるため。
|
今後の研究の推進方策 |
基本的には平成23年度までの研究方法・体制を持続したいと考える。ただし、前近代朝廷文書に関する文献史料の収集にはかなりの時間と労力が必要であることが判明してきたので、さらに効率的に古記録・儀式書を博捜し、記事を整理する方法を考える必要がある。24年度の進捗状況によっては、情報量の多い平安時代の古記録に傾注することも現実的選択となろう。
|