研究課題/領域番号 |
22320129
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
塚田 孝 大阪市立大学, 文学研究科, 教授 (60126125)
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研究分担者 |
井上 徹 大阪市立大学, 文学研究科, 教授 (20213168)
大黒 俊二 大阪市立大学, 文学研究科, 教授 (50152096)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 都市社会史 / 法と社会 / 身分的周縁 / 比較類型 / 商人と流通 / 職人 / 乞食・勧進 / 芸能者 |
研究概要 |
昨年度にひきつづき近世大坂を構成する諸社会集団の実態を「法と社会」の方法で解明するとともに、国内外の比較史を進めるための討論を組織した。 近世大坂の法史料の基礎的検討のため、【大坂町触を読む会】を6回、【大阪府布令を読む会】を3回実施した。大坂の基本的法史料を広く共有し研究基盤を構築するため、小林家文書「御布令」をベースとして明治元年(=慶応4年)の大阪府布令の翻刻を進め、報告書として刊行した。町触については、新たに三津寺町文書に所収の17世紀前期の町触の輪読を開始した。 大坂を中心とした都市内の諸社会集団・身分集団の実態を検討する小円座(ラウンドテーブル)を2回、近世大阪の都市社会史と史料テキストに関する国際小円座1回を開催した。このほか、近世大坂の法と社会に関する史料の調査・収集にも努めた(新出安井家文書の撮影、九州大学所蔵大坂関係史料の調査・撮影)。 また、12月には2日間にわたる国際円座「都市における貧困と救済」を開催し、国内やイタリア・中国の研究者も含めて報告・討論をおこなった。この内容は報告書として刊行した。また海外での学会(オーストラリア)でも成果を報告した。本科研と連動した事業として、City, Culture and Society(エルゼビア社)で大阪の都市社会史の特集号を組んだほか、『史料から読む近世大坂(英語版)』を作成した。これらの成果を基に、シンガポール国立大学でワークショップを行った。 これらにより、都市法史料の基礎的研究基盤の整備を進めるとともに、国際比較についての方法の開発と内容を深化せることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
史料輪読会や報告書の刊行、国際円座や小円座の開催など、研究計画に沿って順調に進んでいる。またイタリアの研究者を招へいして国際円座の開催を実現した。このほか、中国・アメリカなど海外の研究者との交流も広がり、中国都市(特に上海)との比較史も進捗している。これらを前提に来年度の総括シンポジウムへの準備が整ってきたと言える。
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今後の研究の推進方策 |
事務局会議を定期的に開催し、史料調査、史料輪読会・小円座などの研究会の開催、海外との比較・交流などをバランスよく実施していくとともに、成果の集約に向けた研究会の実施なども定期的に行っていきたい。また、昨年度は諸般の事情により中国からの研究者招聘が実現できなかったが、今年度は中国(上海)でのシンポジウム開催を計画している。
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