研究課題/領域番号 |
22320134
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
海老澤 衷 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (60194015)
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研究分担者 |
高橋 敏子 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (80151520)
井上 聡 東京大学, 史料編纂所, 助教 (20302656)
清水 克行 明治大学, 商学部, 准教授 (40440135)
清水 亮 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (90451731)
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キーワード | 備中国新見荘 / 東寺百合文書 / 復原調査 / 地名 / 高林寺 / 寺院・神社・石造文化財 / 灌漑 / 多層荘園記録システム |
研究概要 |
6月21日に第1回のワークショップを開催し、代表者、分担者、協力者が一堂に会してこれまでの研究成果を確認し、今後の調査の進め方を検討した。 備中国新見荘(現在の岡山県新見市のうち)は史料が厖大に存在し、また、その領域が広大であることから、多くの研究者が注目してきたにもかかわらず、その全体的な復原調査は行われてこなかった。今回、多くの人の協業によりその可能性が見えてきたといえる。関連する中世文書については、東寺百合文書の検討により、平安時代から南北朝時代までの状況を把握し、データ化を進めた。これらに記された中世地名については現地調査を実施してその復原に努めた。灌漑調査については、今年度の目標としていたVI(井村)・VII(西方村)のブロックのうち、特にVIIの上金子・下金子一帯で精密な調査を行い得た。また、計画時に構想した金石文調査と古代・近世遺跡史料調査については、合体して「寺院・神社・石造文化財の調査」として行うことにより、調査の能率と精度を高めることができることがわかり、これによって多くの成果を得ることができた。特に地元協力者の積極的な対応によりIブロック(高瀬村)の高林寺において長く所蔵されてきた大般若経や鎌倉期の銘をを有する石造薬師如来像などの調査を行うことができ、今後の「寺院・神社・石造文化財の調査」のモデルを作り上げることができた。また、VIIの南朝年号を有する夕間地蔵に関連して、中世交通路の復原にも前進が見られ、同じく南朝年号を有する朝間地蔵・昼間地蔵などとの関係から、中世における荘域を超えた交通網の存在についてもその手がかりを得ることができた。9月11日から13日にかけて、学外の研究分担者全員と多くの研究協力者の協業の下、以上の成果に関する中間的な確認調査を行った。こうして「多層荘園記録システム」の構築に向けて第一歩を踏み出すことができた。
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