研究課題/領域番号 |
22320145
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
古谷 大輔 大阪大学, 世界言語研究センター, 准教授 (30335400)
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研究分担者 |
立石 博高 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 教授 (00137027)
大津留 厚 神戸大学, 大学院・人文学研究科, 教授 (10176943)
小山 哲 京都大学, 文学研究科, 教授 (80215425)
中本 香 大阪大学, 世界言語研究センター, 准教授 (30324875)
中澤 達哉 福井大学, 教育地域科学部, 准教授 (60350378)
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キーワード | 西洋史 / 近世史 / 国家形成 / 複合国家 / 礫岩(コングロマリット)国家 |
研究概要 |
本研究課題の初年度にあたる平成22年度は、研究分担者・連携研究者による各々の対象地域の複合的国家編成に関する調査、それらの成果を比較検討する研究会(平成22年5月22日於大阪、同年12月26日於大阪)、国内の近世ヨーロッパ史研究者を招き本研究の方向性を問うワークショップ(平成23年3月13日於京都)を実施した。本研究は、従来地域別に検討されてきた東・西・南・北ヨーロッパ各々の近世的国家編成に関して比較を進める点に最大の特色があるが、本年度に開催された研究会やワークショップを通じて、複合的国家編成の制度的側面と理念的側面に比較検討の焦点を置きながら、各々の地域における事例が提示された。そうした作業によって、第一に、従来、各国の歴史学研究者が各地域に固有の事例に依拠しつつ導出した「複合王朝」や「礫岩国家」といった複合的国家編成を扱う方法概念は、各地の政治・社会・文化的状況の差によって意味することが異なるため、近世ヨーロッパに広く見られた現象としての「複合的国家編成」という語彙と峻別して次年度以降の比較検討を進めねばならないこと、第二に近代的国民国家史観の相対化後の地平に立った歴史学研究に求められる課題として、各々の地域事情に応じてその内実が異なる国家編成を包括し、近世ヨーロッパに普遍的な国家形態として「複合的国家編成」を総括する方法概念を本研究は提示できるかなど、比較研究を進める上で研究者間に共有されるべき課題が明らかにされた。従来、地域別に検討されてきた近世的国家編成の問題に関して、研究分担者・連携研究者の間で共有されるべき方法論的課題が明らかにされた点は、本研究を単に個別研究の集積として進めるのではなく、個々の研究が有機的連関をもつ共同研究として進める上で、次年度以降の指針となるべき成果となった。
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