研究課題
本研究のホームグラウンドというべき、オスティア、ポンペイ、エルコラーノでは、例年のごとく堀とその調査集団が4週間レーザースキャナーによる三次元精密実測をおこない、オスティアではテヴェレ川河口の港湾都市特有の洪水の問題についてシミュレーションを試み,南部よりもむしろ北部で地盤が高く,洪水の被害が少なかったことを示した。また豊田との関連で「七賢人のタベルナ」の精密測量も実施し、この特異なトイレ・フレスコ画解明に貢献した。坂口はスコラ周辺を重点的に調査し、他の遺跡を含めてtabernae(居酒屋)の遺構のデータを収集し、池口はオスティアとポルトゥスのhorrea(倉庫)調査を基に穀物供給システム解明に努めた。美術史部門でも加藤が、これまで未解明のオスティアの「牡牛を屠るミトラス神」の諸作例の発展を押さえ、2世紀末~3世紀末にその内的意味が一種の象徴表現に異化していることを確認した。ポンペイでは,堀グループが同様の精密測量で、マリーナ門(海の門)北側の街区は元々存在した倉庫群の構造体の上に構築されたという説があるが、むしろ人工地盤として造成された可能性が高いことを示した。一方、池口はポンペイ出土獣骨研究の予備的調査を独自に進め、サレント大学との共同研究への見通しを得ることに成功した。今後の成果が大いに期待される。さらに、黒田・片山はポッツオリ方面にも射程を伸ばし、とりわけ黒田は大聖堂の古代遺構再生に関し今後の研究の重要な足がかりを得ることができた。こうして、帝政期の重要港湾都市を建築学・美術史・考古学・宗教史を射程に入れ、3D精密測量を駆使し調査・研究するという初期の目的を、比較的順調に実績を積むことができたと自負している。今後はその成果をもとに各自が一層の研究深化を追求するはずである。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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