研究課題/領域番号 |
22320151
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
豊川 浩一 明治大学, 文学部, 教授 (30172208)
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研究分担者 |
栗生澤 猛夫 北海道大学, 文学部, 名誉教授 (40111190)
中澤 敦夫 富山大学, 人文学部, 教授 (90242388)
吉田 俊則 富山大学, 人文学部, 教授 (40240296)
宮野 裕 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 准教授 (50312327)
丸山 由紀子 東京外国語大学, 外国語学部, 研究員 (20401432)
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キーワード | 1649年会議法典 / 前近代ロシア / 動乱時代 / アヴラーミー・パーリツィンの物語 |
研究概要 |
本年度は昨年度に引き続き『1649年会議法典』(以下『会議法典』と略)翻訳・解釈を行い、そこで得られた知見を基にして前近代ロシア社会の問題を浮き彫りにした。特に、この『会議法典』が成立するまでのロシアの諸法典・法律文書の歴史的展開について、法制史だけではなく、政治、経済。社会、宗教、民俗といった様々な側面から当時の社会状況の一端を明らかにした。その成果が、中澤敦・吉田俊則「『1649年会議法典』翻訳と注釈(8)」『人文学部紀要』(富山大学人文学部)56巻、2012年、265-307頁である。これが『会議法典』の翻訳・解釈についての最終成果である。 これと前後して、17世紀初頭を中心とした近世ロシアの法典全体の意味を問い、かつ『会議法典』のロシア法における位置づけの研究に着手した。具体的には、『聖三位一体修道院の包囲についてアヴラーミー・パーリツィンの物語』の翻訳・解釈を行うこととし、2011年6月からテキストについての報告・発表を行い、その翌月から本格的な翻訳・解釈の作業を開始した。これは17世紀初頭の「動乱時代」に偽ドミートリーと彼に率いられたポーランド軍によって包囲された聖三位一体大修道院(モスクワの北東にある)の様子を中心に書かれた歴史書である。これは当時の修道院財産管理僧の手になるものであるが、この書の検討により、先の『会議法典』成立に至るまでのロシアの社会的情況の一端を理解することができるのである。また、17世紀のロシア語を丁寧に読むことにより、言語学の上からも学問的に寄与するところ大である。 以上の点を考えて、月1階の定例会で研究代表者・分担者・協力者による合同での翻訳・解釈を行った。一方で、研究分担者・協力者は各自史料研究を進めた。ただし、予定していた合宿形式での合同研究会は、東日本大震災の影響もあって準備が間に合わず行われなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調に『会議法典』の翻訳・解釈についての論文が完成し、かつ新たなテキストの翻訳・解釈に移行することが出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年から始まっている『聖三位一体修道院の包囲についてアヴラーミー・パーリツィンの物語』の翻訳・解釈を、今年度も行うことにし、かつ研究分担者・研究協力者各自が史料研究を推進する。そのために、月1階の定例会を行い、研究の進展を図ることとする。
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