研究課題/領域番号 |
22320153
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
柳澤 清一 千葉大学, 文学部, 教授 (10334161)
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研究分担者 |
岡本 東三 千葉大学, 文学部, 教授 (00000498)
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キーワード | オホーツク文化 / 擦文文化 / トビニタイ文化 / 広域編年 / 終末期 |
研究概要 |
昨年度の準備を踏まえて、本年度より礼文島浜中2遺跡の発掘調査をスタートさせた。道東部では標津町から中標津町へ移動し、鱒川弟3遺跡の発掘調査実習(学生負担)を実施した。また、これらの調査に加えて、年度初めの予定を変更し、東京・北海道の機関に所蔵されたオホーツク文化資料の実査を行い、本研究の目的にかなう有益な情報を入手した。活動のあらましは以下のとおりである。 道北1)礼文島浜中2遺跡の測量(2011年7月31日~8月8日) 2)浜中2遺跡第1次発掘調査(2012年4月27日~5月11日):第I・II地点(未完了)。 3)調査資料の整理と概報の作成(5月~2013年2月)。3月9日に概報(45頁)を刊行)。 4)北海道大学北方生物圏フィールド科学センター植物園・札幌大学において、礼文島及びオホーツク海沿岸・千島列島のオホーツク文化資料を実査(3月13・14日)。 道東1)中標津町鱒川第3遺跡第1次発掘調査(9月5日~22日)。 2)調査資料の整理と概報の作成(10月~2月)。3月9日に概報(25頁)を刊行。 3)北海道大学北方生物圏フィールド科学センター植物園・札幌大学・北海道大学総合博物館において、網走市・南千島のオホーツク文化資料の実査(3月15・16日)。 4)東京大学文学部考古学研究室において、網走市のオホーツク文化資料を実査(3月22日) なお2011年5月には、これまでの研究成果を見直し、書き下ろし論文4本を加えて新著、『北方考古学の新展開』を刊行した(六一書房、400頁)。これは本研究の調査成果の一部を含むものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
浜中2遺跡の調査では、第I地点において、目的としていたオホーツク文化終末期の未知の文化層の検出に成功した。また第II地点でも未知の文化層を検出し、サハリン島オホーツク文化との編年対比の「鍵」となる新資料を発見した。2012年度の第2次調査によって、おそらく、道北における通説的なオホーツク文化の変遷観は、根本から見直しが求められることになるであろう。また、上記成果を補足する「鍵」資料を、資料の実査を通じて入手することができた。さらに研究成果をまとめた新著、並びに調査概報も、予定通りに刊行した。
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今後の研究の推進方策 |
第2次調査では、第I地点1区と第II地点1区を完掘する。また新たに第I地点2・4区と第III地点1区を開設し、本研究の目的にかなう資料を収集する。ただし第I地点では、2.5メートルほどの層厚を有する文化層が堆積しているため、次年度では予定した調査を完了できない恐れも予想される。 対策1)発掘調査期間を17日から25日位にまで延長し、予定した調査の完了を目指す。 2)それでもなお完了できない場合には、本研究の期間延長の申請を想定したい。
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