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2012 年度 実績報告書

擦文文化・トビニタイ文化・オホーツク文化終末期の広域編年研究

研究課題

研究課題/領域番号 22320153
研究機関千葉大学

研究代表者

柳澤 清一  千葉大学, 文学部, 教授 (10334161)

研究分担者 岡本 東三  千葉大学, 文学部, 名誉教授 (00000498)
研究期間 (年度) 2010-04-01 – 2014-03-31
キーワードオホーツク文化 / 擦文文化 / トビニタイ文化 / 広域編年 / 終末期
研究概要

昨年度の調査成果を踏まえて、本年度は礼文島浜中2遺跡の第2次発掘調査を実施した。道東部では中標津町において、鱒川弟3遺跡及び当幌川遺跡の発掘実習(学生負担)を同時に実施した。両遺跡の調査で通説の見直しに繋がる重要な資料と層位的な事実を把握した。また、これらの調査に加えて、北海道の諸機関に所蔵されている、オホーツク文化・擦文文化の資料実査を行い、本研究の目的にかなう有益な情報を入手した。年間の活動の概要は以下のとおりである。
道北・道央:1)浜中2遺跡(第2次)発掘調査(2012年4月22日~5月9日):第I地点(未完了)、第II地点(完了)、第III地点(未完了)。2)同上遺跡資料の整理、概報作成(5月~2013年2月)。調査概報(130頁)の刊行。3)北海道大学フィールド科学センター・恵庭市郷土資料館・北海道埋蔵文化財センターにおいて、オホーツク文化・擦文文化資料の実査。(3月13・14日)。
道東:1)鱒川第3遺跡(第2次)・当幌川遺跡(第1次)発掘調査(2012年8月30日~9月16日)。2)同上遺跡資料の整理、概報の作成(10月~2013年2月)。調査概報(305頁)を刊行。3)北海道大学フィールド科学センターにおいてオホーツク文化資料の実査(3月5~7日)。
本州:1)秋田県埋蔵文化財センターにおいて、須恵器資料の実査(2012年11月15~16日)

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

浜中2遺跡の調査では、第I~III地点において、目的としていたオホーツク文化「終末期」の未知の文化層の検出に再び成功し、北海道島において、特に道北島嶼域の通説編年を支える礼文島元地遺跡の「層位事実」が誤りであることが、層位・型式の両面において明確に証明された。さらに刻紋・沈線紋土器(「古い部分」)に伴う須恵器片を検出したことも、重要な成果であった。鑑定によると、その年代は8世紀後半~9世紀半ば頃に比定され、この資料からも、通説の北方編年体系の矛盾が明らかとなった。最終年度となる第3次調査において、今年度の画期的な成果を追認するため、慎重に第I・III地点の精査を進めたい。その結果、北方考古学の体系を支える通説の道北編年体系は、根本から見直しが求められることになろう。上記の成果をできるかぎり共有化するために迅速に大部の概報をまとめ、また道北の補完的な調査(考古学実習)においては、通説の道東編年の見直しに繋がる、貴重な資料、情報の獲得に成功したことも、併せて特記しておきたい。また各機関における実査活動においても、学史上に「忘失」された資料の整理と分析を進めており、次年度から順次、論文・新著(第3作)として、その成果をまとめたいと考えている。

今後の研究の推進方策

最終の第3次調査では、第I地点1区と第III地点1区の完掘を目指す。また層位事実を追認するために、新たに第I地点2・6区を開設し、本研究の目標に合致した資料の収集に努める。ただし、第I地点はすでに2.4メートルの深さに達しており、既掘・新掘予定の文化層をすべて完掘することはきわめて困難であると予想される。埋葬人骨の収集数も目標には到達していないことから、さらに広域的な発掘調査の実施が是非とも望まれる。対策 1)平成26年度から4~5年かけて「継続調査」を実施するための新プランを策定し、理化学分野との連携を視野に入れた科学研究費の新規申請を行う。2)そのプランにおいて、これまでの成果を論文として、あるいは著書として発表し、またメディア公表するための、様々な企画を立案し、実行する。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 4件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] いわゆる「東大編年」と山内博士「新北方編年」説の相克2013

    • 著者名/発表者名
      柳澤 清一
    • 雑誌名

      (千葉大学)人文研究

      巻: 42 ページ: 57-140

  • [雑誌論文] 「オホーツク文化」の接触、同化・融合説の真相2013

    • 著者名/発表者名
      柳澤 清一
    • 雑誌名

      (千葉大学大学院人文社会科研究科)研究プロジェクト報告書

      巻: 251 ページ: 106-148

  • [雑誌論文] 旧常呂町・斜里町における新北方編年案の検証2012

    • 著者名/発表者名
      柳澤 清一
    • 雑誌名

      古代

      巻: 126 ページ: 101-150

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 新北方編年案とB-Tm火山灰から見た蕨手刀の副葬年代2012

    • 著者名/発表者名
      柳澤 清一
    • 雑誌名

      古代

      巻: 126 ページ: 151-189

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ウサクマイN遺跡出土のソーメン紋土器の年代2012

    • 著者名/発表者名
      柳澤 清一
    • 雑誌名

      古代

      巻: 127 ページ: 163-194

    • 査読あり
  • [雑誌論文] いわゆる「元地式」(「接触様式」)編年の再検討2012

    • 著者名/発表者名
      柳澤 清一
    • 雑誌名

      古代

      巻: 128 ページ: 113-160

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 佐藤達夫のポスト「擦紋V」期編年の成り立ち2012

    • 著者名/発表者名
      柳澤 清一
    • 雑誌名

      技術と交流の考古学(岡内三眞先生古稀記念論集)

      巻: 1 ページ: 712-725

  • [図書] 型式論の実践的な研究 I2013

    • 著者名/発表者名
      柳澤 清一 編
    • 総ページ数
      168
    • 出版者
      千葉大学大学院人文社会科学研究科
  • [図書] 北海道礼文町浜中2遺跡 第2次発掘調査概報2013

    • 著者名/発表者名
      千葉大学考古学研究室(柳澤編)
    • 総ページ数
      130
    • 出版者
      千葉大学考古学研究室
  • [図書] 北海道中標津町鱒川第3遺跡(第2次)・当幌川遺跡(第1次)発掘調査概報2013

    • 著者名/発表者名
      千葉大学考古学研究室(柳澤編)
    • 総ページ数
      30
    • 出版者
      千葉大学考古学研究室

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公開日: 2014-07-24  

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