研究課題/領域番号 |
22320155
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
山田 康弘 島根大学, 法文学部, 教授 (40264270)
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研究分担者 |
設楽 博己 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (70206093)
茂原 信生 独立行政法人奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 客員研究員 (20049208)
山崎 健 独立行政法人奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 研究員 (50510814)
太田 博樹 北里大学, 医学部, 准教授 (40401228)
谷畑 美帆 明治大学, 文学部, 講師 (10440174)
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キーワード | 先史学 / 人類学 / 縄文時代 / 保美貝塚 / 人骨 |
研究概要 |
平成22年度は、愛知県田原市に所在する保美貝塚の発掘調査を、試掘(2010年9月)・本調査(2011年2月)の2回にわたって行った。総面積は24m^2である。 これらの調査の結果、全国で10例目、およそ28年ぶりの発見となる盤状集骨墓を1基検出することができた。さらには、これに近接する土器棺墓を1基、および別個体の集骨葬例を1基確認することができた。また、これらの遺構に隣接して土坑墓も1基確認され、この中からは単独・単葬された人骨が出土した。この人骨は、鹿角製の腰飾を着装しており、赤色顔料が散布されるなど、特殊な埋葬状況を考えさせるものであった。このような事例の出土は、保美貝塚では初めてである。 これらの人骨出土例については、研究の目的にも記したように、詳細な考古学的情報を入手するため、実測図・デジタル写真・ビデオ撮影によって、その埋葬方法や人骨各部位の位置関係などを逐一記録した。これにより、従来は情報として残されることがほとんど無かった人骨各部位の位置関係や埋葬状況について詳細な記録を残すことができた。このことは、縄文時代における特殊な墓制である盤状集骨葬について、より一層の考古学的分析を行うことを可能とするとともに、人骨から得られる人類学的情報と比較することによって、過去の社会に対してさらなる理解を導くものとなるであろう。なお、出土人骨については、現在人類学的な分析を行っている最中である。 このような発掘調査や分析以外にも、考古学・人類学的見地からの教養教育・社会教育の一環として、地元の小中学校および高等学校の先生方を対象として、田原市の文化財、特に保美貝塚の重要性についてレクチャーを行い、地元の教育機関と連携しながら、文化的アイデンティティの育成についても貢献を行った。
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