研究課題/領域番号 |
22320156
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松木 武彦 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (50238995)
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研究分担者 |
今津 節生 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, その他部局等, 研究員 (50250379)
桃崎 祐輔 福岡大学, 人文学部, 教授 (60323218)
岡林 孝作 奈良県立橿原考古学研究所, その他部局等, その他 (80250380)
鳥越 俊行 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, その他部局等, 研究員 (80416560)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 古墳 / 竪穴式石室 / 勝負砂古墳 / 馬具 / X線CT / 短甲 / 文化財修復 / 鏡 |
研究概要 |
昨年度に引続き、分析とデータ化が可能な実資料の集成を、馬具を中心に行い、有機質の付属物または付着物については、実物の観察や絵画資料をもとに、形状、質、色彩などを含めた基礎資料の整備を行った。研究分担者の桃﨑が主として担当した。馬具以外の副葬品については、鉄鏃・短甲を中心に代表者の松木が比較資料のデータ整備を行った。 これらを副葬した木棺復元のための基礎資料は、研究分担者の岡林が担当し、勝負砂古墳との直接比較にかかわる資料は12月中にほぼ完了し、それをもとに勝負砂古墳の木棺および金具の詳細観察を実施して、勝負砂古墳の木棺の全体像の復元を行った。 この作業と併行して、馬具に付着した有機質のX線3Dスキャナーによる分析を、九州国立博物館にて研究分担者の今津と鳥越が行い、また解析用のソフトウェアを岡山大学に送付して、松木が中心となってその詳しい分析と復元を行った。その結果、馬具付着の繊維に2種類があることと、それぞれの構造の大枠が復元できた。 以上の副葬品や木棺の復元成果を総合しつつ、勝負砂古墳を基準とした古墳副葬空間の再現を試みるための基礎データが得られた。 さらに上記の作業と並行して、馬具の解剖的分析のために必要な保存処理を行い、3月に完了した。 最終年度に向けての研究総括と報告書作成のを進めるため、12月に研究代表者と研究分担者の全員が、2月には一部が集まり、研究打ち合わせの会議を岡山大学にて行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分析とデータ化が可能な実資料の集成については、馬具に関していえばきわめて順調に進展している。しかし、鏡の有機質の付属物または付着物については、いま少しの補足が必要である。鉄鏃・短甲その他の武器・武具については予定通りである。副葬品の書品目全体についていえば計画通りの進展度であるが、上記のような不均等があるため、進展度のバランスをとる必要がある。 木棺復元およびそのための基礎資料の整理は、計画通りに順調に進んでいる。とくに木棺部材同士を結ぶ金具の観察方法に大きな進展が得られたことによって、この項目については計画通りの達成が可能となった。 馬具に付着した有機質のX線3Dスキャナー分析は、解析用のソフトウェアを岡山大学で使用できることによって実資料を見ながらの検討が進み、予定通りの進展状況となった。 最終年度に向けての研究総括と報告書作成の打ち合わせは、12月段階でほぼ7割がたの進展は見たが、その後の調整に若干の遅れが生じた。 以上、項目によって計画以上の達成ができたものとそうでないものとがあるが、全体的にはほぼ90-95%の進展度を得られたものと評価する。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引続き、分析とデータ化が可能な実資料の集成を完成させる。馬具はほぼ完了したので、それをもとに総合的な復元図を完成させる。馬具以外の副葬品については、作業が遅れている鉄鏃・短甲の比較資料データ整備を9月までに完了させる。木棺の復元に必要なデータがほぼ得られたので、これをもとに勝負砂古墳の木棺の復元像をCGなどを用いて製作する。これらは各担当者が行い、連絡を緊密に取り合ってその情報が研究メンバーのすべてに及ぶようにする。 馬具に付着した有機質のX線3Dスキャナーによる分析をより完璧にするために、九州国立博物館にてよりより分析を目的とした技術的検討を行う。これは九州国立博物館を中心に進め、各担当者に情報が及ぶようにする。 また、分析の前提となる保存処理は必要に応じて計画的に実施し、本年度中に完了する。 上記の3点をまとめる形で、最終年度に向けての研究総括と報告書作成を進めるために、研究代表者と研究分担者の全員を集めた会議を定期的に開催する。
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