研究課題/領域番号 |
22320157
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
田崎 博之 愛媛大学, 法文学部, 教授 (30155064)
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研究分担者 |
外山 秀一 皇學館大学, 文学部, 教授 (50247756)
宇田津 徹朗 宮崎大学, 農学部, 准教授 (00253807)
三吉 秀充 愛媛大学, 法文学部, 助教 (50284386)
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キーワード | 考古学 / 稲作農耕 / 縄文時代 / プラント・オパール分析 / 地形環境 / 堆積層解析 |
研究概要 |
愛媛県松山市に所在する文京遺跡で発掘調査(文京遺跡44次調査)を実施した。隣接する31次調査地点の土層堆積の再確認、プラント・オパール分析試料の採取と分析、古地形の復原、検証作業会での土層解析を通じて、縄文時代に堆積が進む黄褐色土層の中位に形成された灰色砂礫土層(IV-2a-(2)層)でイネのプラント・オパールが安定的に出土することを特定できた。灰色砂礫土層は、旧河道への落ち際に形成され、周辺に一定の広がりをもって堆積しており、黄褐色土層の下部に縄文時代後期の縁帯文土器が出土する土壌層があること、黄褐色土層上部からも縄文土器が出土すること、黄褐色土層の最上面に掘り込まれた遺構が刻目凸帯文土器以降のものであることから、縄文時代後期と限定できる。また、調査区西端の幅1mをトレンチ状に掘り下げ、灰色砂礫土層の上面を検出したところ、5条の幅50~80cm、高さ4~7cmの高まり列が出土した。灰色砂礫土層下部でも、土層断面で高さ5cm前後の連続する高まり列と考えられる凹凸を観察できた。しかし、これらが稲作農耕空間に関係するものかは、今年度の調査では確定できなかった。 同時に、周辺で出土した縄文時代後期の土器に残された圧痕のレプリカ法による分析では、未同定であるが、植物種子を確認できた。また、調査事例が蓄積されている大韓民国で畠遺構の断面観察と平面調査方法を検討し、関西地区の堆積学や縄文時代~弥生時代の考古学の研究者を加えた研究交流会では、今年度の調査・研究のまとめを行い、次年度、堆積土の粒径分析やX線を用いた土層薄片の分析を追加導入し、灰色砂礫土層上面の高まり列の面的調査及び下部の調査を行う具体的方策を整理できた。
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