研究課題/領域番号 |
22320157
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
田崎 博之 愛媛大学, 法文学部, 教授 (30155064)
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研究分担者 |
宇田津 徹朗 宮崎大学, 農学部, 教授 (00253807)
外山 秀一 皇學館大学, 文学部, 教授 (50247756)
三吉 秀充 愛媛大学, 法文学部, 講師 (50284386)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | 考古学 / 稲作農耕 / 縄文時代 / プラント・オパール分析 / 地形環境 / 堆積相解析 |
研究概要 |
松山市文京遺跡において,イネのプラント・オパールが検出された縄文後期~晩期のIV-2a層の発掘調査を継続した。遠沈管を利用した簡易の粒径観察,プラント・オパール分析の汚染対策を行いながら,IV-2a層の堆積相解析と考古学的痕跡を明らかにすることを目指した。その結果,IV-2a層は,分級が極めて悪い古土壌で本来の堆積構造を観察できないこと,下半部では下層由来の小塊が混じり,掘削によって土を破砕し攪拌しながら,その場にとどめる所作が一定間隔で列状に連続して繰り返された痕跡(小溝群)を確認できた。イネの検出状況を加え,IV-2a 層は植物栽培のために攪拌(耕耘)された農耕空間である可能性が高い。砂が主体の土層であり湛水の痕跡もないこと,IV-2a層の広がりが限られることから,北東側の微高地上の居住域に隣接する小規模な畠跡の可能性も考えうる。イネのプラント・オパールの検出状況からは,イネを含む混作の可能性も示唆される。下層のIV-5 層から縁帯文土器が出土し,周辺ではIV層最上面に縄文晩期末~弥生初頭の刻目凸帯文土器段階の土壙が掘り込まれていることから,IV-2a層は縄文晩期~後期の時間幅で捉えることができる。上層のIV-1 層最下部に縁帯文土器の破片が包含され,縄文後期の可能性もあるが,今後,周辺で調査が進むことを期待したい。ただし,農耕空間の形態については,IV-2a 層が繰り返し撹拌を受け,上面がIV-1層の堆積に伴って削られているため,栽培状況を示す畝等の痕跡は明らかにできなかった。以上,考古学,地理学,農学,地質考古学の研究者が協同し,縄文時代の農耕空間を検出し認定する方法論の現状と課題を整理し,その課題への対応を図りながら,縄文時代に遡る農耕空間を具体的に調査・解明する仕組みを構築できた。そこで確認された農耕空間探究のためのコンセプトと方法論によって,今後,事例が増加することが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
理由
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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