研究課題/領域番号 |
22320165
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研究機関 | 北陸学院大学 |
研究代表者 |
小林 正史 北陸学院大学, その他部局等, 教授 (50225538)
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研究分担者 |
北野 博司 東北芸術工科大学, 芸術学部, 准教授 (20326755)
鐘ヶ江 賢二 鹿児島国際大学, 公私立大学の部局等, その他 (00389595)
田畑 直彦 山口大学, 学内共同利用施設等, 助教 (20284234)
庄田 慎矢 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, その他部局等, 研究員 (50566940)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | 土器使用痕 / ススコゲ / 炊飯 / 深鍋 / 斜め白色吹きこぼれ痕 / 弥生時代 / ワークショップ / 湯取り法 |
研究概要 |
縄文から古代までの土鍋による調理方法を復元し、土鍋の形・作りの機能的意味を明らかにする、という目的に沿って、①ワークショップ形式による土器観察会、②伝統的蒸し調理の民族調査(タイ、ラオス、スリランカ)、③複製縄文・弥生深鍋による調理実験、④土器の断面薄片の粘土粒子配向の顕微鏡観察による紐積み方法の復元、などを組み合わせた研究を行った。以下の成果が得られた。 第一に、弥生前期~古墳中期の深鍋では、「鍋を傾ける湯取り法炊飯」の証拠となる「斜め白色吹きこぼれ痕」が、条件が良い遺跡では高い頻度でみられることが明らかになった。このため、炭化穀粒と斜め白吹きの存在から、炊飯用鍋をより高い頻度で認定できるようになった。 第二に、弥生前期~古墳中期の炊飯用と推定される中型深鍋では、上述の「斜め白吹き」と「側面加熱痕」が高い頻度でみられることから、東南アジアと共通した「側面加熱蒸らしを伴う湯取り法炊飯」が普及していたことが明らかになった。 第三に、穀粒痕の種類が粘り気の強い米品種(白抜き粒状剥離痕)と粘り気の弱い米品種(立体的穀粒痕)では異なることが炊飯民族誌調査と調理実験から明らかにされた。その結果、後者が付く弥生~古墳中期深鍋と前者が付く中世土鍋では米品種が異なっていた(すなわち、古代の米蒸し期を挟んで、「東南アジアと共通する粘り気の弱い米品種」から「現在まで継続する粘り気の強い米品種」に交代した)ことが明らかになった。 第四に、炊飯方法が具体的に明らかになった結果、口縁部の形状が「湯取り時やオキ火上転がし時に鍋が傾けた際にフタが外れないようにすること」を意図して作られていることが明らかになった。 さらに、土器観察ワークショップを通じて土器使用痕分析を行う研究者が増えてきたことも大きな成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
理由
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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