研究課題/領域番号 |
22320166
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研究機関 | 山梨県立博物館 |
研究代表者 |
中山 誠二 山梨県立博物館, 学芸課長 (60574142)
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研究分担者 |
外山 秀一 皇學館大学, 文学部, 教授 (50247756)
庄田 慎矢 奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 研究員 (50566940)
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キーワード | 植物圧痕分析 / プラント・オパール分析 / 石器使用痕分析 / 韓国内の分析資料の編年確認 / 国内調査 / 韓国内調査 |
研究概要 |
本年度においては、主題である雑穀農耕の起源に関わる研究に関し大きな進展があった。 国内調査としては、7月~3月にかけて山梨県内を中心とした屋敷平遺跡、石之坪遺跡、中道遺跡、一の沢遺跡などの植物圧痕土器の調査研究を行った。その結果、縄文時代晩期終末期の浮線文段階(紀元前500年前後)にアワ・キビの小粒穀物が存在することが確認された。これらの雑穀が中部日本でどの程度広がりをもっていたのかが今後の課題となるが、日本列島内陸部におけるアワ・キビ栽培の出現期が解明されつつある。9月には山梨県立博物館内の「古代の畑」で石器によるアワ・キビの収穫実験を行い、その使用痕分析を実施し基礎データを蓄積した。 韓国調査としては、8月15日(月)~20日(土)に韓国環境考古学研究所、忠清南道歴史文化院、大東文化財研究院、中部考古学研究所において、大坪里遺跡、智佐里遺跡、石橋里遺跡の植物圧痕分析、プラント・オパール分析、石器使用痕分析を行なった。石橋里遺跡の圧痕分析では新石器時代中期(紀元前3000年頃)のアワ・キビ、智佐里遺跡では新石器時代後期(紀元前2000年頃)のアワ・キビ、大坪里遺跡では青銅器時代前期(紀元前1500年頃)のイネ・アワ・キビが確認され、穀物栽培の時代的変化が明らかになってきた。また、石・器の分析では、大坪里遺跡の石刀に光沢面が認められ、当時の収穫具の状況が把握できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は東日本大震災の影響があり、予定していた調査の時期が遅れる場合もあったが、当初計画していた調査を年度内に実施でき、資料データの蓄積が順調に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度には、引き続き韓国内及び国内の関連資料の調査を行うとともに、これまで蓄積されたデータを順次整理し、平成25年度に予定している報告書の刊行に向けた準備を行う。また、これまでの内容を情報発信するため、24年度には韓国内で研究会を行い、25年度には国内でシンポジウムを実施する計画である。
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