研究課題/領域番号 |
22320166
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研究機関 | 山梨県立博物館 |
研究代表者 |
中山 誠二 山梨県立博物館, その他部局等, その他 (60574142)
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研究分担者 |
外山 秀一 皇學館大学, 文学部, 教授 (50247756)
庄田 慎矢 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, その他部局等, 研究員 (50566940)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 植物圧痕分析 / プラント・オパール分析 / 石器使用痕分析 / 日韓の新石器時代編年対比 / 日本 / 韓国 |
研究概要 |
本年度は、主題である雑穀農耕の起源に関わる調査を日本国内並びに韓国内で引き続き実施した。 国内調査としては、7月~3月にかけて山梨県上暮地新屋敷遺跡、鋳物師屋遺跡、青木遺跡、石堂遺跡、金生遺跡、長野県大師遺跡などの植物圧痕土器の調査研究を行った。その結果、縄文時代早期中葉にさかのぼる野生ダイズが検出され、マメ科植物の利用の起源に関わる情報が得られた。また、縄文前期後葉のシソ属種子も確認された。8~9月には小菅村雑穀栽培見本園で石器によるアワ・キビの収穫実験を行い、その使用痕分析を実施し基礎データを蓄積した。 韓国調査としては、2013年2月17日(日)~23日(土)に韓国文化遺産研究院、啓明大学行素博物館において、安山大阜島遺跡、松竹里遺跡の植物圧痕分析、プラント・オパール分析、蔚山薬泗洞遺跡、蔚山倉坪洞遺跡等で石器使用痕分析を行なった。安山大阜島遺跡、松竹里遺跡の圧痕分析では新石器時代中期(紀元前3000年頃)のアワ・キビ、松竹里遺跡では青銅器時代前期(紀元前1500年頃)のイネ・アワ・キビが確認され、穀物栽培の時代的変化が明らかになってきた。また、プラント・オパール分析では、韓国新石器時代前期以降の土器胎土からキビ族型の機動細胞が確認され、キビ族植物の利用がこの時期まで遡る可能性が提示された。このような状況は、日本国内では未確認であることから、日韓の植物利用の違いを示す可能性もある。石器の分析では、定型的な磨製穂摘具の出現が、稲作波及以降であることが確認されてきた。 本年2月には、韓国釜山福泉博物館において日韓の研究者によるシンポジウム「先史時代朝鮮半島内陸地域における雑穀農耕の科学的研究」を実施し、これらの調査成果の発表・討議を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、年度当初予定していた調査をほぼ実施し、分析資料の蓄積を行うことができた。また、2月の訪韓の折りには、釜山福泉博物館においてシンポジウムを開催し、これまでの成果報告を行い、日韓両国の研究者と意見交換を行った。さらに、平成22年度、23年度の韓国内調査の概要を山梨県立博物館研究紀要第7集にまとめ、情報発信を行った。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、過去3年間調査を行った資料に関する分析を継続的に行い、調査した全資料に関する研究成果を取りまとめる。 また、5月の日本考古学協会において、これまでの日韓調査の概要を報告するとともに、6月に研究会を開催し報告書作成に関する協議を行う。さらに、8月には韓国の研究分担者を招聘し、日本国内において「日韓の雑穀農耕起源」に関するシンポジウムを開催する計画である。
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