研究分担者 |
関戸 明子 群馬大学, 教育学部, 准教授 (50206629)
島津 俊之 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (60216075)
遠城 明雄 九州大学, 人文学研究院, 教授 (00243866)
福田 珠己 大阪府立大学, 人文社会学部, 准教授 (80285311)
森 正人 三重大学, 人文学部, 准教授 (10372541)
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研究概要 |
本研究は「地域文化」なるものが近代以降どのように生産・流通・消費されてきたのか,という問題設定を立て,文化地理学の視角から検討を行うものである。この場合「地域文化」には,特定の地域の生活様式のみならず,当該地域がその地に住む人々や他者にどのように表象されているかということも含まれる。よって観光や民俗,民芸のみならず,地域博覧会や博物館,百貨店の物産展,また様々な社会運動の中で,その地域が何と結びつけられて表象されるか,等も対象となる。本年度は初年度であったが,調査・研究活動は多岐にわたり旺盛に行われたため,代表的な活動のみを記しておく。〈表象と再生産研究班〉は,下関市立美術館で開催された山口県出身の高島北海(得三)展覧会に着目し,明治初期に内務省地理局に勤務後,日本画家として確固たる地位を築く一方で長門峡のプロモートを行いもした彼の業績を集中的に調査・研究した。この展覧会に併せて合宿研究会を行うことで(3月上旬),まさに「地域文化」の「消費」状況を実地検分することができた。〈メディアの展開研究班〉は,輸送機関の発達,複製芸術の発達を基盤とするマス・メディアの展開,ならびにアカデミア内外の「ローカル」なものの発見,そしてツーリズム,これらの具体的な事例調査を行うものであるが,本年はJTB発行の『旅』誌に着目し,それを分析することによって,デスティネイションやアトラクションの変化を通覧する業績を得ることができた。地域文化の「流通」の実態解明の一端を示すことができたと言える。〈思想史・理論研究班〉は,地域文化の「生産」の基盤を解明することを目的とするが,今年度は九州・沖縄地域の郷土研究会の設立状況に関する悉皆的な調査を行った。この他,テル・アヴィヴで開催されたIGUでは2名が報告を行った。その地理学史研究部会とのリンクの模索について,7月下旬に京都で開催された合宿研究会で報告がなされた。
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