研究分担者 |
関戸 明子 群馬大学, 教育学部, 教授 (50206629)
島津 俊之 和歌山大学, 教育学部, 教授 (60216075)
荒山 正彦 関西学院大学, 文学部, 教授 (70263184)
福田 珠己 大阪府立大学, 人文社会学部, 准教授 (80285311)
加藤 政洋 立命館大学, 文学部, 准教授 (30330484)
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研究概要 |
「地域文化」が近代以降どのように生産・流通・消費されてきたのかという問題設定のもと,文化地理学の視角から検討を行っている。ここでいう「地域文化」には,特定の地域の生活様式のみならず,当該地域がその地に住む人々や他者にどのように表象されているかということも含まれる。本年度は2年度目で調査・研究活動はさらに多岐にわたり旺盛に行われた。全体的な活動をはじめに記す。5月28・29日の両日,木曽路の馬籠・妻籠ならびに犬山で研究会を行った。前者は1970年前後から「地方」に対する表象が喚起され始めるまさにその当の現場であるからであり,後者は昭和2年の日本新八景の際に「日本ライン」をはじめ,地元の運動を見るのに適しているからである。実地を踏査するのと並行して関連報告と討議を行った。8月中旬にはフランクフルト大学で開催されたICCG(国際批判地理学会)では5名が中間成果報告を行い,各国の参加者と活発な討議を行うことが出来た。また地理思想的観点から多くの問題意識を共有する「言語と物質性からみた地理的モダニティの構築に関する地理学史的研究」科研(地理思想史科研)のメンバーと,3月中旬に合同の研究会を那覇市で行い,沖縄をフィールドとする報告を軸に相互の問題構制について議論し,近代という時間性と地域という空間性の緊密な連関性に対する問題意職を高めることが出来た。以下各班の代表的な研究事例について列挙しておく。〈表象と再生産研究班〉:九州・沖縄地域の郷土研究会の設立状況,九州沖縄八県連合共進会に関する調査,与論島の観光イメージの変容,福岡城址の政治学,巡礼の近代性。〈メディアの展開研究班〉:絵葉書や鳥瞰図を通しての草津温泉の景観読解,被災地の観光振興とイメージ戦略。〈思想史・理論研究班〉:明治期の官制地理学者高島北海の研究,「場所の系譜学」に関する研究,戦時期の郷土教育,「自然」を通じた統治性の在り方に関する研究。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
〈表象と再生産研究班〉,〈メディアの展開研究班〉,〈思想史・理論研究班〉とも,それぞれ順調に調査・研究を行い,国内・国際学会で発表・報告を行うほか,学会誌や単行本において着実に成果報告を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き各班のテーマの下でメンバー各自の研究を進めていく。無論ケルンでのICGなどの国際学会を中心に成果報告を行っていくが,次年度は本研究課題の最終年度に当たるため,例えば日本地理学会学術大会においてシンポジウムを開催し,本科研の研究課題をまとまった形で報告し討議することが好ましいので,これを実行に移したいと考えている(来春の学会を予定)。また研究成果については,単行本の形で出版されるべきものと考えている。問題はそれを引き受けてくれる出版社を探すことであるが,これについては,これまでメンバーが関わってきた出版社を中心に相談していくつもりである。
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