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2011 年度 実績報告書

ラムサール条約登録湿地の保全と利用をめぐる政治地理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 22320171
研究機関広島大学

研究代表者

淺野 敏久  広島大学, 大学院・総合科学研究科, 准教授 (00284125)

研究分担者 伊藤 達也  法政大学, 文学部, 教授 (60223161)
金 どう哲  岡山大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (10281974)
平井 幸弘  駒澤大学, 文学部, 教授 (30181134)
香川 雄一  滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (00401307)
キーワードラムサール条約 / 湿地の環境保全 / 湿地のワイズユース / 大韓民国 / 牛浦沼(ウポヌプ) / 豊岡市 / 蕪栗沼 / 中海・宍道湖
研究概要

本研究は,自然保護区の保全と利用をめぐる諸問題について,日韓のラムサール条約湿地を取り上げて論じることを目的としている。本年度は,(1)先行研究レビュー,(2)日本のラムサール条約湿地に関する情報収集,(3)日本国内の登録湿地に関する事例調査(未登録湿地についても比較のための調査),(4)韓国の登録湿地に関する事例調査(未登録湿地含む)を行うことを計画した。メンバー全員での事例調査として,8-9月に韓国のウポ沼,コンガン池,スンチョン湾,2月に豊岡市での現地調査を行った。また,随時研究会を行い意見・情報交換をした。その他,メンバー各人でも,中海・宍道湖,琵琶湖,霞ヶ浦,佐渡,長良川河口,諏訪湖,諌早湾,韓国のナクトン江,シファ湖などで調査を行ったほか,衛星写真や古い地形図などを用いた湖沼の分析,全国の登録湿地所在地を対象とした自治体アンケートとNPO等アンケート調査などを行った。
初年度に引き続き,ラムサール条約湿地の保全と利用をめぐる議論の全体像を把握することと,各現場レベルでの受け入れられ方や対応の違いなどを調べた。その結果として,初年度に明らかにした,ラムサール条約に基づく環境管理の考え方が,応用生態学的な志向性の強い韓国と,周辺住民への配慮意識の強い日本とで差があること,日本国内においてラムサール条約登録の線引きが各湿地の地域事情によって大きく異なることを更に確認するとともに,本年度のポイントとして,ラムサール登録地となることの観光的価値あるいは観光化への地元の期待・対応に関して日韓で大きな差があることを明らかにした。日本でいえば世界遺産化と観光化の関係が,韓国ではラムサール条約登録でも認められ,観光化が進むことが湿地の保全・利用策に反映されることを明らかにできた。
そして,来年度以降,これらの論点について,より焦点を絞った調査を行う必要があることを課題として認識することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

日韓各地の湿地の保全・利用に関する情報を広範に集めるという点では,調査地が,申請書にあげた湿地と若干異なるものの,韓国のウポ沼,スンチョン湾,中海・宍道湖,豊岡市という主たる調査地での調査を行うことができたし,調査地点数でいえば申請書にあげた以上の場所での情報収集を行うことができた。一方で,初年度に手をつけられなかった全国自治体等アンケート調査も行うことができた。これらの情報を得たことによって,申請書に記した研究目的にあげた現実論としての自然の保護と利用に関する議論の再構築に向けた知見を得られた。

今後の研究の推進方策

次年度が最終年度にあたり,研究の取りまとめをはじめなければならない。研究成果について成果を論文化していくことになる。いくつかについては執筆準備に取りかかっている。また,本研究では日韓のラムサール条約湿地の広範な情報を得られているため,学術論文とは別に一般書などによる成果の発表ができないか,検討を始めている。一方,現地調査についてもまだ十分とはいえず,特に韓国の一大観光地化しているスンチョン湾や,日本国内で本メンバーでは未調査である北海道の湿地,大都市湾岸部の湿地についての情報も集める必要がある。これらについての現地調査を次年度は行うつもりである。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 木曽川水系の水資源利用・管理システムの特徴と問題点(上)2012

    • 著者名/発表者名
      伊藤達也
    • 雑誌名

      水利科学

      巻: 323 ページ: 20-36

  • [雑誌論文] 韓国の干潟開発論争地の「その後」にみる「持続可能な開発」2011

    • 著者名/発表者名
      淺野敏久・金どぅ哲・伊藤達也・平井幸弘・香川雄一
    • 雑誌名

      地理科学

      巻: 66 ページ: 183-202

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 日本の湖沼の成因と人々の関わり2011

    • 著者名/発表者名
      平井幸弘
    • 雑誌名

      河川文化

      巻: 55 ページ: 4-7

  • [雑誌論文] アジアのメガシティにおける都市の発達が郊外との温度差に与える影響2011

    • 著者名/発表者名
      白木洋平・山下亜紀郎・谷口智雅・香川雄一・一ノ瀬俊明・豊田知世・吉越昭久・谷口真人
    • 雑誌名

      地球環境研究

      巻: 13 ページ: 107-113

  • [雑誌論文] 滋賀県による外来魚駆除事業とその推移2011

    • 著者名/発表者名
      香川雄一
    • 雑誌名

      しがの住民と自治

      巻: 238 ページ: 1-7

  • [雑誌論文] 地形に対応したまちづくり2011

    • 著者名/発表者名
      平井幸弘
    • 雑誌名

      歴史と地理-地理の研究-

      巻: 648 ページ: 18-26

  • [雑誌論文] The role of traditional fishermen communities and related changes in natural resource management of the Tam Giang Lagoon, Vietnam2011

    • 著者名/発表者名
      Huu NGU NGUYEN, Doo-Chul KIM
    • 雑誌名

      Journal of Environmental Science for Sustainable Society

      巻: 4 ページ: 13-24

    • 査読あり
  • [学会発表] Effect of sea-level rise at Hue Lagoon and its counter-measures2011

    • 著者名/発表者名
      Yukihiro HIRAI
    • 学会等名
      One-day Workshop on Vietnamese Deltas and Their Sustainability
    • 発表場所
      茨城県水戸市・茨城大学
    • 年月日
      2011-11-19
  • [学会発表] 琵琶湖の環境問題をめぐる新聞報道の地域性2011

    • 著者名/発表者名
      香川雄一・清山風人
    • 学会等名
      人文地理学会大会
    • 発表場所
      東京都豊島区・立教大学
    • 年月日
      2011-11-13
  • [学会発表] 流域統合管理と分割管理-利水面から見た場合-2011

    • 著者名/発表者名
      伊藤達也
    • 学会等名
      水資源・環境学会
    • 発表場所
      京都府長岡京市
    • 年月日
      2011-06-04
  • [図書] 環境問題に関わる市民運動と地域(杉浦芳夫編『地域環境の地理学』)2012

    • 著者名/発表者名
      淺野敏久
    • 総ページ数
      192
    • 出版者
      朝倉書店
  • [図書] 河川行政の見直しと科学技術(吉岡斉編『新通史日本の科学技術第1巻』)2011

    • 著者名/発表者名
      伊藤達也
    • 総ページ数
      574
    • 出版者
      原書房

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公開日: 2013-06-26  

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