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2012 年度 実績報告書

東南アジアにおける人の移動と帰還移民の再統合に関する社会人類学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 22320175
研究機関首都大学東京

研究代表者

伊藤 眞  首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 教授 (60183175)

研究期間 (年度) 2010-04-01 – 2013-03-31
キーワード文化人類学 / 国際研究者交流 / 家事労働 / 海外研修生 / 帰還移民 / 出稼ぎ移民 / エスニックメディア / インドネシア
研究概要

最終年度である本年度は、これまでの継続として、研究代表者及び連携研究者は、日本、韓国、台湾、香港などにおけるインドネシア系移民について、新たに次の点すなわち、(1) インドネシアの経済成長と移民政策、 (2) 移民経験と自己変容、というテーマに即して調査を実施した。
インドネシアの経済成長と移民政策について注目すべきことは、インドネシア政府が非熟練労働者の送り出しから専門家派遣への転換を表明していることである。しかし、それは非熟練労働者を切り捨てるというよりは、むしろ国民経済の中に海外に滞在する非熟練労働者としての家事労働者を統合する方策である。インドネシア政府は、香港とシンガポールにおいて、家事労働者を主な対象に、通信教育、オープン大学を開設し、海外で働きながら高校や大学の卒業資格取得が可能になるべく便宜をはかっている。また、家事労働者を対象に起業家セミナー教室も開設されている。これらの新事業は、移民労働者の意識を変えるつつある。すなわち、経済目的だけにとどまらず、キャリアアップのための移住労働という新しい動機付けを与えているからである。一方、帰還移民自身に焦点を移すならば、グローバル化した世界での移民経験は、彼女ら・彼らの人生設計に多様な選択肢を与えつつある。海外で取得した資金を新築などの一時的な消費で終わらせることなく、新ビジネスに着手する者、その資金を社会福祉活動に生かそうとする者も現れている。かつての出稼ぎ型移民労働に比べ、現在の移民労働はよりシステム化された制度の中にありながら、新しい諸個人を生み出す機会を提供しているのである。
以上の知見は、伊藤及び連携研究者が現地で実施した聞き取り調査、資料収集の成果からえられた。

現在までの達成度 (区分)
理由

24年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

24年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (4件) 図書 (4件)

  • [雑誌論文] 「香港、ヴィクトリア公園にて-インドネシア人女性家事労働者とその可能性-」2013

    • 著者名/発表者名
      伊藤 眞
    • 雑誌名

      『人文学報』

      巻: 468号 ページ: 9-27

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「親族システムの理念と実践――マレーシア、オラン・アスリ社会の母系制」2013

    • 著者名/発表者名
      信田敏宏
    • 雑誌名

      『国立民族学博物館研究報告』

      巻: 37-3 ページ: 311-330

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「台湾におけるエスニック・メディアが作り出すインドネシア女性労働者のネットワーク」2012

    • 著者名/発表者名
      小池 誠
    • 雑誌名

      『国際文化論集』

      巻: 46 ページ: 1-31

  • [雑誌論文] 「2050年の日本─フィリピーナの夢をめぐる人類学的想像力」2012

    • 著者名/発表者名
      山下晋司
    • 雑誌名

      『文化人類学』

      巻: 75-3 ページ: 326-346

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「一つの世界にともに生きることを学ぶ─滞日外国人と多文化共生」2012

    • 著者名/発表者名
      山下晋司
    • 雑誌名

      『アメリカ太平洋研究』

      巻: 112 ページ: 44-53

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「王は主体か客体か:第8回全国クラトン・フェスティバル見聞記」2012

    • 著者名/発表者名
      山口裕子
    • 雑誌名

      『インドネシア ニュースレター』

      巻: 81号 ページ: 13-28

  • [学会発表] Hybridity in Transnational Japan:New Paths beyond Multi-ethnicmulticulturalism (Panel organizer and2012

    • 著者名/発表者名
      Shinji Yamashita
    • 学会等名
      The 111th Annual Meeting of American Anthropological Association
    • 発表場所
      San Francisco, USA
    • 年月日
      20121115-20121115
  • [学会発表] "Gema Perdamaian: Tourism, Religion and Peace in Multicultural Bali"2012

    • 著者名/発表者名
      Shinji Yamashita
    • 学会等名
      Bali Conference 2012: Bali in Global Asia
    • 発表場所
      Udayana University, インドネシア
    • 年月日
      20120718-20120718
  • [学会発表] ”Foreign Domestic Helpers in Hong Kong: Rights, Unions, and Citizenship”2012

    • 著者名/発表者名
      Makoto Ito
    • 学会等名
      The East Asian Anthropological Association
    • 発表場所
      The Chinese University of Hong Kong, 中国
    • 年月日
      20120705-20120709
  • [学会発表] Multiculturalism in East Asia: A Comparative Perspective (Panel organizer and chair)2012

    • 著者名/発表者名
      Shinji Yamashita
    • 学会等名
      The East Asian Anthropological Association
    • 発表場所
      The Chinese University of Hong Kong, 中国
    • 年月日
      20120705-20120709
  • [図書] 『生をつなぐ家 親族研究の新たなる地平』2013

    • 著者名/発表者名
      伊藤 眞
    • 総ページ数
      338
    • 出版者
      風響社
  • [図書] 『多文化都市と新相互行為圏(NIZ)の形成-新しい「国際移動研究センター」構築に向けた研究』2013

    • 著者名/発表者名
      伊藤 眞編
    • 総ページ数
      312
    • 出版者
      首都大学東京
  • [図書] 『東南アジアにおける人の移動と帰還移民の再統合に関する社会人類学的研究』2013

    • 著者名/発表者名
      伊藤 眞編
    • 総ページ数
      164
    • 出版者
      首都大学東京
  • [図書] 鏡味治也編『民族大国インドネシア―文化継承とアイデンティ』2012

    • 著者名/発表者名
      長津一史
    • 総ページ数
      365
    • 出版者
      木犀社

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公開日: 2014-07-24  

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