研究課題/領域番号 |
22330004
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
瀬戸山 晃一 大阪大学, 国際教育交流センター, 准教授 (00379075)
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研究分担者 |
山中 浩司 大阪大学, 大学院・人間科学研究科, 教授 (40230510)
霜田 求 京都女子大学, 現代社会学部, 教授 (90243138)
岩田 太 上智大学, 法学部, 教授 (60327864)
清水 耕一 海上保安大学校, 海洋政策研究センター, 准教授 (20524391)
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キーワード | 生命倫理 / 差別 / 保険 / 遺伝情報 |
研究概要 |
初年度が遺伝医療の専門家や大手生命保険会社の保険査定担当の医師などへのインタビューが中心であったが、H23年度は、医療保険や比較的新しい保険会社へのインタビュー調査や、消費者や患者会の代表者などとの聞き取り調査や意見交換を主に実施した。研究分担者との全体会議を定期的に開催し研究の進捗状況を確認するとともに、法令の改正・業界の動向など最新の情報の共有を図った。 成果公表は、第23回日本生命倫理学会(10月16日)において、90分のワークショップの枠を得て、「遺伝子情報の取り扱いをめぐる倫理・法・社会」と題するテーマで、研究代表者の瀬戸山晃一及び研究分担者の霜田求がオーガナイザーを務め、瀬戸山が「遺伝情報に基づく社会における差別と法規制」、研究分担者山中浩司が「遺伝子検査についての日本と世界の現状と問題点」、研究分担者清水耕一が「ドイツ遺伝子診断法と保険加入について」と題し報告を行い、市民や保険業者や専門家からなるフロア聴衆との意見交換を行った。 海外調査としては、研究分担者清水が、ドイツにおいて調査を行いハンブルクの保険契約者団体及びケルン大学のRolfs教授と意見交換を行った(10月25日~11月7日)。また研究分担者岩田太は、オーストラリアにおいて調査を行い専門家へのインタビュー及び遺伝差別に関する学会(Human Genome Organization HGM 2012)に参加し情報収集を行った(3月9日~15日)。国内調査としては、ゲノムELSIユニット主催シンポジウム「社会で築くゲノム科学の未来-パーソナルゲノム研究の最前線と今後の展開-」(1月21日)に瀬戸山・清水・特任研究員の森田が参加し、意見交換を行った。全国消費生活相談員協会代表丹野恵美子氏を招へいしセミナーを開催し意見交換を行った。 瀬戸山・森田は、アレルギー児を持つ親の連絡会であるアラジー・ポット理事栗山真理子氏と懇談し、アレルギー児に関する遺伝子差別の現状を調査し意見交換を行った。また瀬戸山・森田は、3月6日7日に、保険会社数社を訪問し、商品開発・引受け等の部門の担当者へのインタビューを行い、情報収集をすると共に意見交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内の保険会社の担当者や患者会や消費者協会の代表者などにインタビューなどの調査をしているが、テーマが差別に係わるセンシティブな問題であり、また法律が整備されていないこともあり、日本での遺伝子差別の実態把握は難しいところがあるが、遺伝子情報への関心は関係者が強く持っていることは確認でき、遺伝子検査の低コスト化や普及が益々今後進んでいくと将来的には保険において差別的取り扱いの危険性や可能性を否定する関係者はいない認識が得られた。 海外調査も概ね順調で、ドイツなどでの法規制の現状と海外の専門家の意見聴敢などの成果は国内の関連学会でワークショップを開催し、情報発信するとともに市民を含めた参加者などとも意見交換を行った°
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、最終年度であり、これまでの調査で得られた情報を分析検討するとともに、それらに基づいて引き続き日本と諸外国の生命保険と医療保険における遺伝情報に基づく差別的取扱の現状と法的規制の動向調査を専門家や関係者へのインタビュー続ける。また広く遺伝子差別の事例を収集し日本における実態把握をするため、プロジェクトのホームページで意見投書コーナーを設けて対応することにした。そして、それらの成果の一部を秋の関連学会で報告するとともに随時HP上などで成果を発信する。年度末には報告書を作成する計画である。 具体的には次の活動を行う計画である。 1.前年度に収集した文献・資料の分析と検討とともに引き続き遺伝情報に基づく保険における差別事例を調査する。 2.生命保険と医療保険の遺伝子差別の現状と法規制についての国内調査:生命保険協会や保険商品の行政の監督官庁担当部署や、遺伝病患者や家族や支援組織のインタビューを行う予定である。 3.生命保険と医療保険の遺伝子差別の現状と法規制についての海外調査:情報収集および専門家や関係者インタビューを行い、特に2008年の米国の遺伝子差別禁止法制定以後の現状について調査分析する計画である。 4.定期的研究打ち合わせと専門家を招聘しての講演会やセミナーや公開シンポジウムを開催(海外の研究者の招聘も計画) 5.秋に開催の関連学会での成果報告を予定である。 6.報告書を作成 なお上記の計画を遂行するため研究補助として特任研究員を引き続き雇用する。
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