研究課題/領域番号 |
22330012
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
高橋 和之 明治大学, 法務研究科, 教授 (70061223)
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研究分担者 |
高見 勝利 上智大学, 法学研究科, 教授 (70108421)
毛利 透 京都大学, 法学研究科, 教授 (60219962)
西村 裕一 首都大学東京, 都市教養学部, 准教授 (60376390)
松井 直之 首都大学東京, 都市教養学部, 助教 (60468858)
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キーワード | 公法学 / 憲法史 / 中国憲法史 / 立憲主義 / 国体 / 継受 / 変容 |
研究概要 |
平成23年度の主な研究課題は、研究成果を公表し批判・コメント等のフィードバックを得て研究を発展・深化させるために、中国でシンポジウムを開催することである。そこで、雲南大学法学院において「アジアにおける西欧立憲主義の継受と変容」研究会を開催した(平成23年8月25日-27日)。日本側の研究代表者・研究分担者の報告は、高橋和之「立憲主義をどう理解するか」、高見勝利「立憲政治と『体用』『徳義』論一資料の解題を中心に」、毛利透「行政権民主化論の諸相」、西村裕一「美濃部達吉の国体論」、松井直之「有賀長雄と中華民国憲法」であり、中国側の研究協力者等の報告は、韓大元「アジアにおける立憲主義の現代的価値」、莫干川「中国行政法制度の民主化への道程」、林来梵「アジアにおける国体概念の継受と変容」、王徳志「欧米への心酔からソビエトを模範に一五四運動と中国憲政の2つの方向への発展」である。これらの報告は、立憲主義に関する総論的な報告(高橋)を踏まえたうえで、(1)日本の憲法学が中国の憲法学に影響を与えた人的ルートや媒体(松井、王)、(2)日本の憲法学が中国の憲法学に与えた影響の具体的内容(高見、西村、林)、(3)日本と中国における憲法学の現状(毛利、韓、莫)に関する研究と位置付けることができる。研究会での中国の研究協力者等との意見交換は、今後の研究の深化に繋がるものであった。 この他に平成23年度は、曽田三郎教授(広島大学)による報告「中華民国臨時約法の制定と日本での論評」(平成24年1月28日)と、區建英教授(新潟国際情報大学)による報告「厳復の立憲思想一非主流の特異性とその意味」(同年3月3日)を伺い、日本の憲法学が中国の憲法学に与えた影響に関して理解をより深めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成22年度より本研究課題に取り組むなか、日本の中国史研究者や中国人研究者の協力を得て、研究目的(1)日本の憲法学が中国の憲法学に与えた影響を、(1)そのルート、(2)媒体、(3)内容の観点から明らかにすることが進められているからである。また、これに伴い副次的には、従来日本の憲法学があまり行ってこなかった中国憲法(学説)史、とりわけ清末民初期の中国における近代法の継受に対して関心が持たれるようになってきている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終年度は、これまでの研究成果を日本の学会に問い、日本の研究水準の向上に寄与するとともに、そこからのフィードバックを受けてさらに研究を深化させる目的をもって日本でシンポジウムを行う。本研究課題の研究目的(2)日本の憲法学が西欧諸国の憲法学を継受する過程を中国への影響を視野に入れて研究するということは、短期間で成果の出るものではない。研究目的(2)を進めていくためには、現在行っている研究目的(1)日本の憲法学が中国の憲法学に与えた影響を、(1)そのルート、(2)媒体、(3)内容の観点から明らかにすることを丹念に検討していくことが重要なのである。
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