研究課題/領域番号 |
22330016
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小寺 彰 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (80107490)
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研究分担者 |
伊藤 一頼 静岡県立大学, 国際関係学部, 講師 (00405143)
塚原 弓(西村弓) 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (50282512)
玉田 大 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (60362563)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 責任 / 国家責任 / 戦争 / 救済 / 投資仲裁 / 人権 / 武力紛争 / 裁判手続 |
研究概要 |
本プロジェクトは、国際法の多様な分野のそれぞれにおいて「責任」がそのように実現されているのかを検討した上で、個別分野を超えて妥当する一般国際法上の「責任」を観念しうるのかを明らかにすることを目的としている。プロジェクトを通じて、各研究者は三回の報告を行い、その成果を共有する機会が与えられているが、今年度までにほぼ全ての研究者が第二巡目の報告を終え、担当分野における「責任」について自己の評価を固めることができた。 具体的には、7月の研究会で、国際法における救済、武力紛争における責任法、行為帰属の法理に関する報告、3月の合宿において、国家責任の歴史、国家責任法における違法性概念、投資仲裁における責任、人権と国家責任、WTO法における国家責任、裁判手続と国家責任、緊急避難法理、対抗措置と国家責任の関係について報告が行われた。国家責任法一般については、救済法のリーディングケースで原状回復に加えて懲罰的要素が加味されてことの現在の国家責任法理の中での評価や、かつて賠償請求原因と戦争原因という二つの流れが存在したがそれが賠償請求原因に一本化したことの評価、現在二次規範として国家責任法が一般化されていることが国家責任条文草案作成過程でどの様に捉えられていたかが明らかにされた。また、個別の分野では、責任の相手方や行為帰属といった側面で武力紛争に固有の責任法理が妥当していること、個人が直接投資受け入れ国を訴えることができる投資仲裁の性格は責任法理の評価に影響しうること、一般に責任法の実現手段と捉えられている対抗措置を国家責任法とは別個の法理と評価することができること、WTO法での責任法に特別な性格を見出しうること、かつて多様な法的論理に支えられていた緊急避難法理であるが、国家責任条文草案作成の過程でそうした論理的基盤を喪失したことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼすべての研究者が自己の担当する責任法について評価を固めている。 中でも、二日間に亘る合宿の中で、各分野の責任法について集中的に議論することによって、それを超えて妥当する一般国際法上の「責任」を観念することができるのかという問題に迫ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究で行うべきことは次の二点である。第一は、全ての研究者が二巡目の報告を終え、担当分野の評価を固めることである。そして第二は、それぞれの研究者が研究成果の報告に向け準備を進めることである。とりわけ後者を行うに当たっては、一般国際法における「責任」概念を評価する糸口となる様な形で成果を示すことを目指す。
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