研究課題
1.研究の第1年度である2010年度は、地域住民の生活保障と多機関連携(ローカル・ガバナンス)のあり方について、各種の先行研究をふまえた理論的分析枠組みの構築の作業を進めるとともに、長野県、山梨県、徳島県、佐賀県、富山県等で探索的な調査を行い、次のような知見が得られた。(1)自治体予算の編成過程においてどのように住民参加が保証されるのかという点について、首長査定、タウンミーティング、満足度調査、事業評価などの調査を行った結果、タウンミーティングでの情報収集を通じた首長査定は、首長の個性次第で、予算の硬直性打破に貢献する可能性を秘めているが、その限界も確認された。(2)自治体の内部組織については、各自治体は厳しい財政制約下で、組織・予算編成・人事等の行財政改革を行い、自律的な効率化を図るように各部局単位への権限委譲などの分権的な構造が整備されつつある一方、集中的な統制は必ずしも後退していないというある種パラドキシカルな状況が明らかになった。(3)地域内の各種団体・組織のネットワーク形成については、地域ごとの多様な展開が明らかにされるとともに、それらの展開に影響を及ぼす要因の整理が必要であるとの課題も確認された。2.これを受けて、研究の第2年度には、地域住民の生活保障と多機関連携(ローカル・ガバナンス)のあり方についての理論的枠組みを洗練する作業を継続するとともに、これらの問題を多面的に解明するために、インタヴュー調査、サーベイ調査、海外学術調査等をさらに本格的に進めることにする。なお、初年度の研究の進展の中で、地域住民の生活保障と多機関連携(ローカル・ガバナンス)の問題を多面的に解明するためにはさらに多分野の研究者と連携することが必要であることも判明したため研究組織についても一層の充実を図ることとする。
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樫村志郎・武士俣敦編『トラブル経験と相談行動』(東京大学出版会)
ページ: 47-72
The Consumer Co-operative Institute of Japan (ed.), Toward Contemporary Co-operative Studies(Tokyo : Consumer Co-operative Institute of Japan)
ページ: 184-206
宇野重規編『政治の発見4つながる:社会的紐帯と政治学』(風行社)
ページ: 269-296