研究課題/領域番号 |
22330020
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 岩夫 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (80154037)
|
キーワード | 基礎法学 / ローカル・ガバナンス / 生活保障 / 多機関連携 / 介護保険 / 震災 |
研究概要 |
1.研究の第2年度である2011年度は、地域住民の生活保障と多機関連携(ローカル・ガバナンス)のあり方について、前年度に引き続き理論的分析枠組み構築の作業を進めるとともに、以下の多方面の調査を重点的に行った。 (1)地域住民の生活保障の課題とそれに対する関係機関の対応・連携の実情を明らかにするため、2011年8月に岩手県釜石市での住民生活実態調査(アンケート調査)を行うとともに、関係機関のインタヴュー調査を実施した。本調査は、本研究計画の開始当初から予定していたものであったが、調査対象地が東日本大震災による津波被災地でもあったため、震災復興・住民生活再建の点でも貴重な調査となった。 (2)地域住民の生活保障にとって営利および非営利の企業組織がはたす役割は無視できない。本研究の一環として、各地の非営利企業に関するインタヴュー調査を実施するとともに、営利企業への投資活動における「地域社会・住民の利益」重視の程度とその規定要因に関する調査を実施した。 (3)ローカル・ガバナンスの重要アクターである地方議会に関して、福井県で調査を実施した。 (4)今日の地域住民の生活保障にとって介護の問題は枢要な位置を占める。このため本研究では、福井県を対象に、①県の担当課職員調査、②認定調査員調査、③審査会委員調査の3調査(アンケート調査)を実施した(このうち、②および③の調査は、当初2011年度中に実施の予定であったが、調査対象機関・対象者側の事情により、予算を2012年度に繰り越し、2012年7月~8月に調査を実施した)。 2.現在、以上の調査結果のそれぞれについて分析を深めるとともに、各調査の結果を領域横断的に総合する検討作業を進めている。その結果を踏まえて、研究の最終年度である2012年度には、研究の取りまとめを行い、理論的・政策的展望を得る計画である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の第1年度の予備的・準備的研究を踏まえて、第2年度である2011年度には、各分野での調査を重点的に実施し、最終的な研究とりまとめに向けての実証的データを幅広く蓄積することができた。当初2011年度に実施を予定していた調査の一部を、調査対象機関・対象者側の事情により2012年度に繰り越す形となったが、その後調査は順調に完了した。本研究は、研究当初の目的の実現に向けておおむね順調に進展しているといえる
|
今後の研究の推進方策 |
本研究は、研究計画に従いおおむね順調に進展している。研究の最終年度となる2012年度は、研究の取りまとめを行う。とりわけ研究の第2年度に行った多方面の調査の結果についてさらに分析を深めるとともに、「地域住民の生活保障と多機関連携(ローカル・ガバナンス)」という本研究の中心的なコンセプトに基づき領域横断的・総合的な考察を行う。その成果は、従来のローカル・ガバナンス研究に、理論および政策の両面で斬新な視点を提供するものと期待できる。研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題点はとくにない。
|