本研究は、集団的労働紛争の解決システムの国内外の比較研究を通して、わが国の労使関係立法の改革を提言することを目的としている。 第1年目である本年度では、まず、研究体制を整備充実した。本研究は、研究代表者と同分担者各1名の限られた人数で構成しているが、若手研究者を中心とする優れた各国比較法研究者を、研究協力者として調査研究における情報提供や調査補助の任務を協力依頼することを、当初より予定していた。そこで、中国・イギリスについては、キョウ敏(久留米大学准教授)、ドイツについては高橋賢司(立正大学准教授)、イタリアについては、大木正俊(姫路獨協大学准教授)に協力依頼し、共同研究体制を発足した。 平成22年6月に、一橋大学において全メンバーが集合して研究会を開催し、各国の概況を報告して、それぞれの調査国および調査項目の分担、調査計画を確認した。その上で、各メンバーが、諸外国の集団的労働紛争の解決システムの実情調査に着手した。すなわち、野田とキョウ敏は、平成22年11月にイギリス(ACAS、CAC)およびフランス(労働省、CFDT、MEDEF)、大木は3月にイタリア、中窪は同月アメリカの実地調査を行った。これらの調査結果については、本年に第2回目研究会を開催して、各報告を行い、来年度に公表の予定である。
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