研究課題/領域番号 |
22330026
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
町野 朔 上智大学, 生命倫理研究所, 教授 (60053691)
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キーワード | 児童虐待 / 児童養護施設 / 里親 / 児童相談所 / 家庭裁判所 / 児童自立支援施設 / 多機関連携 / 児童保護 |
研究概要 |
本研究は児童虐待の問題に対しトータルな児童虐待防止・児童保護システムを構想することを目指しており、平成23年度は主に社会的養護の実態について把握し、現状の課題について検討するとともに、親権改正とその問題点について議論した。 (1)研究会の開催 再虐待の問題として「尼崎事件」を、関係機関の連携、虐待現場への介入の問題として「大阪市ネグレクト死事件」を改めて事例検討し、特に立入調査、臨検・捜索制度の制度的/法的問題ついて議論した。また親権改正については弁護士の立場から、現場の立場から、研究者の立場からそれぞれ検討を行った。本年度は施設訪問を重点的に実施したため、研究会の開催回数は3回と多くはないが現場の方と研究者とで現行の制度、法律の問題点について、また立法者の意図と実際の運用との違いなどを相互に確認でき今後の課題について共通の理解を得られたことは非常に意義深い。 (2)国内調査 横浜市中央児童相談所(一時保護所)、横浜市西部児童相談所(一時保護所)、北海道家庭学校(児童自立支援施設)、大沼学園(児童自立支援施設)、子どもの村福岡(里親)、ファミリーホーム、水上学園(児童養護施設)、松山少年院、松山刑務所、丸亀少女の家(少年院)を訪問した。訪問先の施設ではそれぞれ、関係機関との連携、法制度の実際の運用、現在の課題と今後の展望について調査したところ、児童福祉施設と矯正施設とでは子どもに対する考え方にかなりの違いがあることがわかった。しかし一方でどちらに入所している子どもも根底に抱えている問題や退所後の進路についての問題などそれぞれに共通している部分は多くあり、社会全体として子どもの未来を考えたときこれらの機関の連携も今後は非常に重要になると考えるに至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題は残すが被虐待児の保護の現状把握とその解決に向けての進展はみられる。
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今後の研究の推進方策 |
研究会開催については今年度までの進捗状況と社会の実情とを勘案し、テーマと報告者を再検討する。これまでの研究により少しずつ社会的養護システムの全体像をとらえることができるようになっているため、引き続きマクロの視点とミクロの視点から現在のシステムについて具体的提案をできるよう検討を重ねる。
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