研究課題/領域番号 |
22330029
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉原 和志 東北大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10143348)
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研究分担者 |
胥 鵬 法政大学, 経済学部, 教授 (60247111)
家田 崇 甲南大学, 大学院・ビジネス研究科, 教授 (90319244)
田中 亘 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (00282533)
加賀見 一彰 東洋大学, 経済学部, 准教授 (50316684)
宮澤 信二郎 神戸大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (30523071)
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キーワード | 会社法 / 法と経済学 / コーポレート・ファイナンス / コーポレート・ガバナンス / 組織再編 |
研究概要 |
本年度は、次年度以降の理論モデル・実証分析の前提となる会社法上の個別のルール改正の意義・目的の探求を中心とした。平成17年会社法を中心としながら、現在、会社法改正の機運が高まっていることから今後の改正の論点となり得る点、及び、上場会社への会社法的規律となる金商法、会社法の前提となる債権法等にも検討を広げた(東日本大震災で研究遂行が繰り越された分についても同様)。1.ファイナンス分野では、家田の業績は、会社法改正のもっとも重要な改正点である種類株式の多様化が、株式と社債の区別の相対化をもたらしていること及びその影響を検討した。2.ガバナンスでは、松中の業績が、従前から学説による批判の強い役員報酬規制について、改正論議の前提となるべく判例法まで含めた現状を検討した。3.組織再編分野では、まず、田中の業績が、伝統的な組織再編手法である会社法上の事業譲渡に関する判例法理の内在的理解を提示した。家田の業績は、会社法によって頻繁に活用されるようになり、現在、改正論議の対象にもなっている組織再編の際の株式買取請求権(全部取得条項付種類株式も含む)における価格決定の判断基準・判断手続を検討した。また、家田は、上場会社の組織再編のあり方を規律するルールとして近時新たに導入された金商法上の強制公開買付規制についても検討した。4.このほか会社法ルールの前提となる一般民事ルールにおいて、宮澤ほかの業績は、現在の債権法改正で論点となっている詐害行為取消権の偏頗弁済への適用の有無の経済的意義を分析した。これらは、近時改正がなされたルール及び法改正が予定ないし問題となっているルールに関して、理論・実証の経済分析にも耐えうるように機能的に分析したものである。また、加賀見の業績は、かかる経済分析が法学にとって有益であることをメタ・レベルで示した。以上の業績は、連携研究者も交えた毎月の研究会における法学者と経済学者の活発な意見交換の成果である。
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