特許制度の法目的は「産業の発達」にあるところ、近年、環境、公衆衛生、生命倫理など他の公共政策の追求価値と特許制度の法目的が衝突する国際問題が生じている。本研究は、第1段階において、個別の問題について資料の収集・分析等を行い、第2段階において、総合化を企図して、「生命倫理及び医療と特許」に関する国際シンポジウムや「環境及び開発と特許」に関する関係省庁の専門家による政策シンポジウムなどを開催した。このような活動を通じて、特許と多元的価値に係る様々な問題はバラバラの問題として扱うのではなく、特許制度と非経済的公益に係る問題として総合的に把握することが重要であること、そして問題の適正な解決のためには政策形成プロセスをよりオープンで柔軟で省庁横断的なものにすることが必要であることなどを明らかにした。
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