研究課題/領域番号 |
22330041
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
牧原 出 東北大学, 大学院・法学研究科, 教授 (00238891)
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研究分担者 |
御厨 貴 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (00092338)
飯尾 潤 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (90241926)
竹中 治堅 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (70313484)
秋吉 貴雄 熊本大学, 社会文化科学研究科, 教授 (50332862)
伊藤 正次 首都大学東京, 社会科学研究科, 教授 (40347258)
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キーワード | 日本道路公団 / オーラルヒストリー / 日本道路公団 / 国鉄 / 道路関係四公団民営化推進委員会 / 規制緩和 / 第2次臨時行政調査会 / 小泉純一郎内閣 |
研究概要 |
本年度においては、第1に、日本道路公団民営化については、道路関係四公団民営化推進委員会事務局次長を務めた片桐幸雄氏へのプロジェクトを終了した。全12回の聞き取りからは、日本道路公団の1970年代以降の業務状況の中から改革構想が登場し、小泉純一郎内閣時代の民営化改革への導線となる一方で、民営化という事業形態を重視するか、新規道路建設の取りやめという新組織の事業のあり方を重視するかによって、最終的に対立が激化する過程が度明らかになった。また、このプロジェクトと並行して、国鉄民営化や航空業界の規制緩和などについて、運輸省担当者へのプロジェクトも進めた。こちらでは、国鉄再建監理委員会議事録の講読を下にして、国鉄民営化過程全般さらには議事録に付随する資料について確認を行った。また、航空規制緩和の進行過程を聞き取り、さらにはこうした改革を推進する運輸省の組織管理についても詳細に状況を把握することができた。第3にオーラルヒストリー方法論については、年度末に片桐氏へのオーラルヒストリーと、同じ道路関係四公団民営化推進委員会の委員であった田中一昭氏へのオーラルヒストリー、さらには数多くの回顧録を発表している猪瀬直樹氏の記録・発言を読み合わせて、全体の過程を検証する研究会を開催した。これにより、片桐・田中の構想の共通性と限界、さらには他の委員とりわけ松田委員、川本委員の役割について見通しが立つとともに、猪瀬氏が構想する道路網イメージが、『ミカドの肖像』に連なるものである点で、民営化とは別個のサービスに統治のあり方が見られる点も明らかとなった。これらについては追加的なオーラルヒストリーを今後進めつつ、さらなる方法論について検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東日本大震災により、東北大学が被災したため、一時研究が滞ったものの、オーラル・ヒストリー・プロジェクトを順調に遂行し、その結果についても中間総括の研究会によって、2001年以降の民営化について一定の見通しを得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
第1に運輸省オーラルヒストリーの継続と系統的なオーラルヒストリーの実施である。第2に道路公団民営化など小泉内閣時代に進んだ民営化・規制緩和についての追加的なオーラルヒストリーの実施である。第3に、1980年代以降の民営化・規制緩和を諸外国との比較の中で整理し、この間の政治史を検討し、結果をまとめることである。
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