研究課題/領域番号 |
22330052
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松田 康博 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (50511482)
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研究分担者 |
田中 明彦 東京大学, 大学院・情報学環, 教授 (30163497)
高原 明生 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (80240993)
若林 正丈 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (60114716)
小笠原 欣幸 東京外国語大学, 本部付, 准教授 (20233398)
松本 充豊 天理大学, 国際学部, 准教授 (00335415)
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キーワード | 台湾 / 中国 / 中台関係 / 経済安全保障 / 相互依存 |
研究概要 |
本研究は、中国が大国化したことにより、台湾が「繁栄と自立のディレシマ」に陥るようになった中台関係の構造を明らかにすることを目的としている。 平成23年度は、平成22年度に引き続き、資料収集の他、聞き取り調査や基礎的資料の収集・分析を行うとともに、関係緊密化時期の中台関係について、基本的な分析枠組みを構築することを目的にしていたが、順調に進んでいる。 平成23年8月末~9月はじめにかけて北京へ出張し、中台関係の政策決定の関係者や研究者などへの聞き取り調査や意見交換、資料集などを行い、9月中旬に上海にて上海国際問題研究院の専門家とのワークショップを開催した。 また平成23年5月には代表者がワシントンDCで聞き取り調査を行い、11月はじめにはアメリカの対中国・台湾政策などの専門家を招へいし、中台関係に関わる理論研究に関する研究会を行った。 資料収集においては、上記の出張を利用して図書館などにて資料を収集した。上記の出張や研究会などの内容については、価値の高いものについてテープ起こしをし、テキスト編集し研究グループ用のワーキングペーパーとして研究に活用した。この内容については、メンバーの著書や論文、学会発表などでも引用するなどして活かされた。平成24年2月には、研究成果を日本台湾学会定例研究会の場を活用して発表した。 経済を優先する馬英九政権は、台湾内部で、経済繁栄のために自立と安全保障を犠牲にしているとの批判を浴びたものの、安定を求める多数の有権者に支持され、平成24年1月には再選された。台湾にとって中国との経済関係なしに台湾経済の将来を描くことはほぼ不可能になりつつある。こうした事象を学術的に分析し、理論面でも貢献できるよう、研究をすすめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は予定どおり順調に進んでいるが、インタビューイーの数とインタビュー時間が当初の予定より増えたこともあり、インタビュー内容のテープ起こし謝金に予定よりも費用がかかっており、今後の課題となっている。来年度は、報告書の予算を削るなどして、謝金の工面を工夫したいと思う。またテープ起こしが多くなったことによりワーキングペーパーの編集に時間がかかり遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
研究の3年目として、研究成果を発表し、その過程でさらに調査研究を進めることを目指している。平成24年9月に、台湾の政治大学で本研究に関するシンポジウムを実施し、提出論文を中心に台湾で出版することを計画している。この会議の際に台湾でのインタビューを追加実施する。11月には上海国際問題研究院の研究者を招聘して、馬英九政権二期目の中台関係に関するワークショップを開催することを予定している。また、代表者が所属する東京大学東洋文化研究所の定期刊行物である『東洋文化』の特集号として平成25年度前半に論文集を発表するよう、申請準備中である。上記の成果発表に必要な調査をするため、単独または数人で中国、台湾、米国などへの出張する計画をたてている。またその中間報告をするために、数回ミーティングや研究会の開催を計画している。
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