研究課題
本研究は、中国が大国化したことにより、台湾が「繁栄と自立のディレンマ」に陥るようになった中台関係の構造を明らかにすることを目的としている。台湾は経済的に発展したとはいえ、承認国が少なく、同盟国もなく、武器を売却する国も僅かである。台湾の馬英九政権は、中台間の非公式対話を再開させ、直航便を定期化し、中国からの観光客を受け容れ、中国からの投資を拡大し、両岸経済協力枠組協定を含む18の協定を結ぶなどして、急速に中国との関係緊密化を進めた。経済を優先する馬英九政権は、台湾内部で、経済繁栄のために自立と安全保障を犠牲にしているとの批判を浴びたものの、2012年には再選された。台湾にとって中国との経済関係なしに台湾経済の将来を描くことはほぼ不可能になりつつある。こうした事象を学術的に分析し、理論面でも貢献することが本研究の目標である。平成24年度の研究実績であるが、まず5月に小笠原欣幸・佐藤幸人編『馬英九再選―2012年台湾総統選挙の結果とその影響―』、日本貿易振興機構アジア経済研究所、の出版に際し、メンバーの内4名が論文を発表している。次に9月10日に台湾の国立政治大学現代日本研究センターとの共催で国際シンポジウムを開催し、主要メンバーが論文を提出して口頭報告を行った。シンポジウムでの討論と、直後に行った台湾でのインタビューを参考にして、平成25年3月に、台湾で、同シンポジウムの論文集である、松田康博・蔡増家編『台湾民主化下的両岸関係與台日関係』台北、国立政治大学当代日本研究中心、2013年、を出版した。またインタビュー記録はワーキング・ペーパーとしてまとめた。最後に、メンバー全員が東京大学東洋文化研究所の刊行物である『東洋文化』の特集号に、平成25年中に本研究の最終的な成果を論文として発表する予定である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (29件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (17件) (うち招待講演 2件) 図書 (4件) 備考 (1件)
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