研究課題/領域番号 |
22330054
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
星野 俊也 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 教授 (70304045)
|
研究分担者 |
山田 哲也 南山大学, 総合政策学部, 教授 (00367640)
奥田 太郎 南山大学, 人文学部, 准教授 (20367725)
吉川 元 上智大学, 外国語学部, 教授 (50153143)
眞嶋 俊造 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (50447059)
|
キーワード | 保護する責任 |
研究概要 |
国家が自国の人々を保護する能力が欠如していたり、保護する意思がなく、人道危機を引き起こしていたりする状況にあって、国際社会が(場合によっては軍事力も用い)国境を越えて寄る辺なき人々を救済する役割と展望する「保護する責任(R2P)」アプローチに関し、国際政治学、国際法学、応用倫理・哲学のディジプリンの知を融合し、極限状態にある人々にとって「真に有効な保護のかたち」とは何か、国際社会がとり得る「適正な責任の在り方」とは何か、を批判的に検討するとの研究目的を踏まえ、各研究分担者及び協力者の個人研究に加え、今年度は大阪大学で3回の研究会合を開催した。本研究代表者は海外での研究報告を含め、国際会議等でも積極的に報告をしたが、さらに、平成23年度に日本で初めて設立された防衛省の国際平和協力センターで国連平和維持活動(PKO)など派遣される防衛省員や自衛官を対象とした2回の講習会に2回とも招かれ、ジェンダーや国際人権法・国際人道法の問題を含む「文民の保護」に関する講義を行う機会を得たことは、本件研究の実務への有効性が評価されたものと考えている。このほか、日本国際連合学会2011年度研究大会では、本研究代表者が研究企画を担当し、「国家中心の国連・人間中心の国連」のセッションでは、連携研究者(清水)が基調となる有意義な報告を行うなど、学会の議論もリードした。大阪大学での3回の研究会合を通じて、研究代表者・分担者・連携研究者の報告が一巡するとともに、議論を通じて、若手研究者の指導も行った。「アラブの春」の動向も追い、現実の政治におけるR2P概念の適用にする情報収集や分析も続けている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究会での研究代表者・分担者・連携研究者らの報告もほぼ一巡し、論点の洗い出しができ、最終年度の取りまとめの議論の土台が概ね形成された。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度は最終年度でもあることから、国際政治系、国際法系、応用倫理・哲学系の議論の集約につとめ、R2Pを論じるにあたっての共通項と差異を明らかにしたうえで、理論と事例の両面から、「極限状態にある人々にとって『真に有効な保護のかたち』とは何か、国際社会がとり得る『適正な責任の在り方』とは何か」という本研究の中心テーマである「保護」と「責任」の議論の批判的な検討をとりまとめ、報告にまとめるとともに、今回の検討で取り上げられなかった部分についても明らかにし、後継研究事業の構想を練ることにもつなげたい。
|