研究課題/領域番号 |
22330055
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
原 暉之 北海道大学, 名誉教授 (90086231)
|
研究分担者 |
田村 将人 北海道開拓記念館, 学芸部, 学芸員 (60414140)
池田 裕子 稚内北星学園大学, 情報メディア学部, 准教授 (90448837)
三木 理史 奈良大学, 文学部, 准教授 (60239209)
神長 英輔 新潟国際情報大学, 情報文化学部, 准教授 (40596152)
塩出 浩之 琉球大学, 法文学部, 准教授 (50444906)
|
キーワード | 日本史 / ロシア史 / サハリン / 樺太 / 北東アジア |
研究概要 |
1.出版 (1)原暉之編『日露戦争とサハリン島』北海道大学出版会、2011年。 (2)今西一編『北東アジアのコリアン・ディアスポラ:サハリン・樺太を中心に』小樽商科大学出版会、2011年。 本年度最大の研究成果は、代表者を編者とする論文集(1)の刊行である。これまで本格的研究が日本では皆無であった全島ロシア領期(1875-1905年)、および南北分割期(1905-1945年)初期について、その全体像をはじめて描き出したものである。日本史やロシア史、ディシプリンの壁を越えた国際共同研究として19世紀後半から20世紀初頭のサハリン島の歴史像を再構成した本書は世界的にも類書のない成果である。(2)は、編者が代表をつとめる基盤研究B「19-20世紀北東アジアのなかのサハリン・樺太」との連携のもとに、サハリン朝鮮人の歴史と現状をオーラルヒストリーと文献史学の方法を組み合わせて検証したものでる。 2.シンポジウム、研究会 (1)国際シンポジウム「海峡をまたぐ歴史:日本とロシアの歴史家の目でみる」稚内北星学園大学、8月27日-8月28日 (2)シンポジウム「帝国日本研究の課題と方法」北海道大学・小樽商科大学サテライト、12月17日-12月18日 (3)サハリン・樺太史研究会(5月28日、7月16日、11月5日、3月24日) (1)は、ロシア側から3名、日本側から4名の報告者を招き、北海道内外から多数の参加者があった。日露双方の研究成果の共有と、国際的連携体制の強化という意味でも重要な意義をもつ成果といえる。(2)は、科研メンバーに加えて、道外から小笠原、沖縄、中国の専門家を招き、帝国日本研究の最先端の成果を学ぶとともに、植民地研究の方法論について活発な議論がおこなわれた。(3)では、科研メンバーだけでなく、本州、アメリカ、ロシアからの研究者も招いて、サハリン・樺太史に関する諸問題を多角的に検討することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
なにより、『日露戦争とサハリン島』という共同研究の成果を出版することができた。研究年2目で、一定の水準の書物を世に問うことができたことは「順調」と判断するに足る成果だと考える。また、国際シンポジウムを含む活発な研究会活動は、分担者間の連携を強化し、国内外の研究者とのネットワークもひろがり、本研究を中心とするサハリン島史研究の基盤構築をより強固にすることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の次の目標は、戦間期サハリン島史の編纂である。とくに大きな課題となるのは、前半期が日本軍による保障占領下にあり、その後ソ連の施政下に移った1920年代北サハリンの歴史像の再構成である。資料が国内外に分散しており、未解明な問題も多い。課題の達成にあたり本研究にとって有利となるのは、これまでに築いてきた、サハリンをはじめとするロシア極東地域の大学、文書館との協力体制である。本年度は、積極的に現地での調査をおこない、資料基盤の整備につとめたい。
|