研究課題/領域番号 |
22330057
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
鳥居 高 明治大学, 商学部, 教授 (70298040)
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研究分担者 |
小保内 弘子 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 教授 (50233614)
澤田 ゆかり 外国語大学, 外工学部, 教授 (50313268)
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キーワード | 労働力移動 / 高等教育 / 外国人労働力 / 国籍・市民権 |
研究概要 |
本研究の目的は、従来から論ぜられていた「アジア諸国間の人の移動」に関して、(1)人の移動の中身(=質的変化)、に加え、(2)量的変化を総合的に分析し、アジア諸国間(含む太平洋諸国)における、人の移動の変化を明らかにし、最終的にはこれらの人の移動によって、(1)労働市場の階層化、(2)アジア諸国における人の移動:高学歴化、専門職化という共通の社会現象に関して、従来の社会科学、さらには国民経済を基礎にする経済活動と検討することである。 質的移動に関しては、未熟練労働から専門職労働への変化が極めて顕著な変化である。一言で言えば、「家庭内労働から介護士へ」と表現できよう。この背景には出して側における高等教育・専門教育の普及がある。受けて側の高齢化社会という要因が挙げられる。フィリピンの動きが代表例である。高齢化と同時に起きている少子化もまた、新しい人の移動を促進している。すなわち、婚姻に伴う移動である。 他方、従来の人の移動を加速化させている背景には、高等教育の商業化、特に先進国の高等教育機関が東南アジアを「市場」と捉え、積極的な国際展開を行っていることが指摘される。代表例がマレーシア、シンガポールである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は「人(労働者、留学生など)の移動」に関する研究テーマという性格上、出して側、受け手側の双方からの現地調査が必要である。このために、それぞれの国の担当者ができる限り同時期に、ペアとなって調査を実施することによって効果が上げられる。しかし、複数の研究者の日程調整など、調査実行に遅れが生じている。また、移動する労働者は、受け入れ国側では「外国人労働者」と位置づけられることから、所轄する省庁(特に内務関係)からの理解と協力によりデータ提供を受ける際に、時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
アジア・太平洋諸国間の「新しい」人の移動の鳥瞰図を描くために、引き続き、受け入れ国側、出して側の現地調査を行い、双方のデータや情報を照合する作業を続ける。その際に、『新しい』人の移動の特徴を明確にするために、対象国、対象とする人の移動を絞り込む。また、関係データに関しては、当該国の現地大学や現地研究者の一層の協力関係を強めることで、目的を達成する。
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