この研究プロジェクトでは、いろいろなモデルにおいて、耐戦略性を有するメカニズムや人々の戦略的行動の帰結を理論的に分析し、その結果を経済実験によって検証する。以下、平成22年度の進捗状況を、サブプロジェクトごとに説明する。ただし、サブプロジュクトDは、23年度に繰り越して成果をあげた。 サブプロジェクトA(私的財配分モデルにおけるUniform Ruleの特徴づけ)Sprumont(1991)とChing(1994)によるUniform Ruleの特徴づけの多数財への拡張、すなわち耐戦略性、弱い効率性(Same Sideness)、対称性と非介入性(Nonbossiness)を備えているのは、Uniform Ruleだけであることを、理論的に示す研究を進めた。 サブプロジュクトB(マッチング・モデルでの、耐戦略性の理論的分析)耐戦略性と弱い効率性である「全会一致尊重性(Respect for Unanimity)」や「ペアごとの一致尊重性(Respect for Pairwise Unanimity)」を備えるルールについての理論的分析を完成させた。この研究結果を、Social Choice and Welfareから公刊した。 サブプロジュクトC(動学的トーナメントの情報Feedback効果の分析)動学的トーナメントにおいて、PrincipalがAgentsのEffortを最適にするために、情報Feedbackを行うべき場合と行うべきではない場合を特定した。この研究結果を、Games and Economic Behaviorから公刊した。 また、来年度から行う経済実験のための予備実験も、行った。 サブプロジュクトD(貨幣を導入したマッチング・モデルの理論的分析)耐戦略性、効率性、個人合理性などを満たす配分ルールが、同時せり上げオークションと一致することを示した。
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