研究課題
基盤研究(B)
第1年度となる22年度は、国内メンバーの共同研究集会と外国人研究協力者の招聘による国際研究集会を実施した。国内メンバーのうち研究代表の姫野はイギリス新自由主義の代表的人物であるJ.Aホブスンについてこれまでの研究成果を集約して一書とし、本研究が狙う新自由主義の歴史的な国際比較のベンチマークを示し、3月に九州大学で開催された国際研究集会で、イギリスの新自由主義の定義を再吟味し歴史的な多様性を展望した。分担者の江頭は、ハイエクとシカゴ学派の差異を解明し、同黒木はナイトの自由主義と不平等の関係を整理し、ともに3月の国際研究集会で報告した。江里口はウェッブのNational Minimum論と新自由主義との交錯に検討を加え、イギリスの経済構想との関係について解明し、オーストリアにおける経済思想史学会で報告した。深貝は19世紀ヴィクトリア時代の自由主義に影響を与えた中世主義および古典主義に検討を加え、自由主義の歴史的な変容についてイギリス哲学会で報告した。新村は古典的な自由主義者スミスとヒュームの社会契約論と統治原理論を検証し、またスミスにおける貧困と福祉の思想を解明し、新自由主義との差異解明の基礎作りを行った。歴史的新自由主義における「社会哲学と経済思想」の解明に向けて、初年度に重点的に取り組んだのはリーディング・カントリ(イギリス・アメリカ・ドイツ)のうち、アメリカであった。アメリカから招聘したRoss Emmett:ミシガン大学James Madison College)はフランク・ナヘトの自由主義経済構想とシカゴ学派との差異について問題を提起し、同じくアメリカから招聘したDavid Ciepley(デンバー大学政治科学部)は、アメリカのProgressives思想を紹介し、ドイツから招聘したUlrich Witt (Max Planck Institute of Economics)は、ハイエクにおける社会正義について報告し、新自由主義の国際的・歴史的比較を国際共同研究として進めることができた。
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Evolutionary and Institutional Economic Review
巻: 6.2 ページ: 245-276
『社会福祉研究』(愛知県立大学教育福祉学部)
巻: 12 ページ: 1-11