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2011 年度 実績報告書

「新しい空間経済学」における基本的実証分析枠組の構築

研究課題

研究課題/領域番号 22330076
研究機関京都大学

研究代表者

森 知也  京都大学, 経済研究所, 教授 (70283679)

キーワード経済集積 / クラスター分析 / 自己組織化 / フラクタル構造 / 空間経済学
研究概要

第1に、本研究プロジェクト全般に用いている集積検出手法を洗練し直し、検出アルゴリズムの精度分析、地域境界の撹乱に対する感度分析を含めて、改めて論文としてまとめた。
第2に、改定した集積検出手法を用いて検出した産業集積群について、産業ごとの集積の2次元的空間範囲を示す指標として、大域的範囲(global extent)と、局所的密度(local density)の2指標を新たに開発し、空間集積および分散について、それらの空間スケールを明確に区別することが可能にした。これらを用いることにより、特に、空間経済学では最も一般的な2地域モデルにおいて判別できない、大域的集積かつ局所的分散と局所的集積かつ大域的分散を、定量的に区別することが可能になった。これらは、一般的立地空間の下で、異なるミクロ経済学的メカニズムによって創発する異質な集積・分散パターンとして、空間経済学の理論においては、1990年代から示唆されてきたものである。今回は、開発した指標を日本の製造業のデータに適用して、実際の産業集積の空間範囲を初めて定量的に比較し、結果を論文にまとめた。
第3に、日米の都道府県・州間の旅客・貨物流動データを用いて、各国内の交通経済圏を導出し、昨年度までの研究において、国レベルで検出された中心地法則性(都市規模分布のランクサイズ法則・階層原理・NAS法則)が、本来は、国レベルよりも、むしろ、国内の自律的な経済圏レベルにおいて成立する秩序であることについて、暫定的な結果を得た。また、新しい経済地理学が示唆してきた、産業特有の集積の空間周期の有無を判定する統計量の開発を行い、日米の産業集積パターンの比較分析のための、データおよび分析手法の整備を終えた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

基礎的な手法を洗練し直す必要が生じたため、年度初頭に予定していた計画を遂行できなかった部分があるが、一方で、新たに洗練した基礎手法に関して予定外の成果が生まれた。また、この成果は、当初予定していた研究をも洗練するものであり、本プロジェクト機関中にその成果をまとめることができる見通しであるため、特に問題ではない。

今後の研究の推進方策

本年度に整備した日米データ、および、洗練した集積検出・パターン認識の基礎手法を用いて、中心地法則性(都市規模分布のランクサイズ法則・階層原理・NAS法則等)について、日米の比較分析を行い、論文としてまとめる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] Increasing Returns in Transportation and the Formation of Hubs2012

    • 著者名/発表者名
      Tomoya Mori
    • 雑誌名

      Journal of Economic Geography

      巻: (掲載確定)(近刊)

    • DOI

      10.1093/jeg/lbr028

    • 査読あり
  • [雑誌論文] An Industrial Agglomeration Approach to Central Place and City Size Regularities2011

    • 著者名/発表者名
      Tomoya Mori
    • 雑誌名

      Journal of Regional Science 51

      ページ: 694-731

    • DOI

      DOI:10.1111/j.1467-9787.2011.00715.x

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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