本研究では以下のテーマについて、それぞれ1編の論文としてまとめ、(1)および(3)は国際専門誌に掲載、(2)は2013年3月27日に(独)経済産業研究所にて開催されたTokyo Workshop on Spatial Economicsにて報告し、現在、ディスカッション・ペーパーとして公開に向け改訂中である。 (1) 本研究全般の基礎となる集積検出手法に関して、検出手続き及び可変単位地区問題に関する頑健性の検証手法を改めて整備し、一般的な経済集積の検出に適用可能な枠組としてまとめた。 (2) (1)で検出された産業集積がどの都市の圏域において検出されているかに注目することにより、個々の産業の集積都市数と集積都市の平均人口規模との関係に対数線形関係(Number-Average Size法則)が成立すること、個々の産業の集積が産業固有の空間的周期で起こること、更に、産業間で極めて顕著な集積の空間的同期傾向が存在することを、日米のデータを用いて示した。 (3) 輸送密度・距離の経済を導入することにより、連続立地空間上で輸送ハブ・幹線形成を説明する初めての理論モデルを構築し、より一般的な経済集積メカニズムの定式化を進めた。特に、輸送ハブの空間パターンが、(2)で明らかにされた産業集積と同様の周期性を持つ傾向があることを示した。
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