研究概要 |
本研究は,イノベーション価値の測定を通じ,知財関連施策の評価を行うことで,イノベーション促進のための望ましい政策策定のための判断材料となるエビデンスを提供することを目的としている.具体的には,(1)特許データに基づくイノベーション価値の測定,(2)特許として登録されていない新製品・新サービスなどについて,特定の市場に注目したイノベーション価値の測定の2つを通じて政策の評価を行う.2010年度の成果として,(1)については,実際の評価に向けた特許データに関する基礎的なデータベースの作成と,(2)については自動車の環境技術に係るイノベーション測定のためのマーケットデータ,さらに電気通信分野におけるイノベーションの評価のための個票データに基づく計量経済分析のためのデータベースの作成を行った.(2)に関連してはさらに,政策が企業の研究開発のインセンティブに与える影響を明示的に考慮し,消費者行動,企業行動モデルを定式化し,政策介入がプロダクトイノベーションに与える影響を評価するための構造推定モデルを用いた分析手法の開発を行った.さらに,この開発されたモデルを用いて既存のデータベースを用いて政策分析を行い,論文としてまとめた.2010年度に得られた研究成果は産業組織論研究,国際経済学研究で定評のある国際学会(European Association for Research in Industrial Economics, European Trade Study Group),国内のいくつかの大学の研究会(慶應義塾大学,大阪大学,上智大学,富山大学)においても報告を行っている.また,知財関連施策の評価にあたり,国・地方自治体が採用している知財関連施策を整理し,政策評価のための基礎資料の作成も同時に進めている
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