研究課題/領域番号 |
22330089
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
胥 鵬 法政大学, 経済学部, 教授 (60247111)
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研究分担者 |
森田 果 東北大学, 法学研究科, 准教授 (40292817)
田中 亘 東京大学, 社研, 准教授 (00282533)
蟻川 靖浩 早稲田大学, 商学学術院, 准教授 (90308156)
内田 交謹 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (80305820)
武智 一貴 法政大学, 経済学部, 准教授 (80386341)
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キーワード | 企業統治 / 情報生産 / 株式買取請求 / 企業再編 / 株式持合 / 独立社外取締役 / ストック・オプション / 自己資本比率 |
研究概要 |
本年度は、金融危機との関連で企業統治のあり方を再検討するために、文献レビューしつつ、論点を整理して仮説や理論モデルのフレームワークを提示しながら、仮説検証のためのデータ整備を行ない、いくつかの実証分析を試みた。代表者・胥は、銀行の情報生産機能という企業統治の最も基本問題に挑戦した共著論文と非上場企業の企業統治において私募社債が果たす役割を分析した共著論文を内外に発信した。森田は、経済学アプローチを用いて、統合の最中に金融危機で相場の下落が起きた状況における適正買取株価の決定という会社法実務の難題に挑んだ。田中は、日本の企業統治の根幹にかかわる買収防衛策として株式の持合いに生じうる法律問題について検討した。竹口は急速に増加している既発行のストック・オプションを中止する事例を取り上げ、適時開示情報と株式市場の反応を検証した。内田は、金融危機時に業績不振に陥った企業について、独立的取締役の役割を分析した論文を発表した。武田は自己資本比率に余裕がない銀行が先を争って国債の早期売却がかえって国債価格の急落を招く可能性があることを理論的に分析した。蟻川はIPO実施企業に事前に出資を行ったVCがアンダーライターの子会社である場合のほうが、アンダープライシングの問題が深刻でないことを明らかにし、アンダープライシングにおけるプリンシパルエージェント問題の重要性を示すことに成功している。武智は各国の制度に着目し、制度の質の高低のみならず同質な制度が直接投資といった取引を促進する点を明らかにした。宮崎は企業統治の再検討の基礎となる金融政策によるマクロ経済の影響を研究した。松井は社債市場の価格付けに関する実証研究を行った。上記の様々な角度から金融危機を題材に日本の企業統治を再検証した研究実績は、連携研究者も交えた研究会における法学者、会計学者、経営学者と経済学者のコラボレーションの成果である。
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