研究課題/領域番号 |
22330092
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研究機関 | 独立行政法人経済産業研究所 |
研究代表者 |
冨田 秀昭 独立行政法人経済産業研究所, 研究コーディネーター (40570297)
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研究分担者 |
権 赫旭 日本大学, 経済学部, 准教授 (80361856)
乾 友彦 日本大学, 経済学部, 教授 (10328669)
尾崎 雅彦 大阪大学, 経済学研究科, 講師 (50470068)
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キーワード | サービス産業 / 生産性 / ICT資本 / 人的資本 / 新規参入 |
研究概要 |
乾・金・権・深尾の研究では、日本の製造業に比べて非製造業の生産性レベルと上昇率はICT革命が起きた1995年以降に低迷したわけではなく、80年代から一貫して低いことを『法人企業統計調査』個票データを用いて明らかにした。日米の上場企業のデータを利用して、生産性レベルを国際比較した結果によれば、日本の製造業とその他のサービス業の生産性レベルは米国に比べて有意に低いことが分かった。日本経済の成長を牽引した製造業の生産性レベルが米国の製造業より低いという結果は、日本経済の持続的な成長を維持することは非常に困難であることを示すものであると考えられる。この結果を踏まえて、日本経済成長の源泉を探った深尾・権の研究では、製造業、非製造業ともに、大企業や外資系企業のTFP水準やTFP上昇率が比較的高く、社齢が高いほど、製造業では輸出や研究開発をしている企業ほどTFPは水準・上昇率共に高いことがわかった。一方、社齢が高い独立系中小企業のTFPは水準・上昇率共に低いこと、この2つの企業群の生産性格差は一貫して拡大傾向にあることを発見した。また、乾・宮川・庄司は経済成長の源泉の一つである資本蓄積を見るために、企業と銀行取引をマッチングしたデータを用いて、日本企業の設備投資行動に関する研究を行った。彼らは設備投資比率(設備投資額÷前期末固定資産)の感応度が、最大貸手の生産性若しくは取引銀行群の平均的な生産性が高い場合において、統計的および経済的に意味のある水準で上昇する事を実証的に確認している。これらの研究の結果から、日本経済の持続的な成長を考える上で、社齢の若い企業、国際化している企業や銀行の役割と非製造業、特にサービス業における生産性上昇が非常に重要な課題であると言えよう。
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