研究課題/領域番号 |
22330094
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
大橋 和彦 一橋大学, 大学院・国際企業戦略研究科, 教授 (50261780)
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研究分担者 |
林 文夫 一橋大学, 大学院・国際企業戦略研究科, 教授 (80159095)
本多 俊毅 一橋大学, 大学院・国際企業戦略研究科, 准教授 (70303063)
沖本 竜義 一橋大学, 大学院・国際企業戦略研究科, 准教授 (70420304)
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キーワード | 排出権価格 / 通貨の取引費用 / 大域的最少分散ポートフォリオ / 平滑推移モデル / コピュラ |
研究概要 |
平成22年度は、商品、通貨、株式、債券価格の相互依存性について以下の結果を得た。まず、大橋は、燃料の選択という生産活動に基づく関係を利用して、CO_2排出権価格を石炭及び天然ガスの価格差へのオプションとして表現するモデルを開発・分析し、成果を海外の学会で報告した。林は、共著論文("Emerging Market Currency Excess Returns"、2008)を改訂し、リーマンショックとその後の期間を含む分析を、通貨の取引費用の日時データを用いて新たに行った。また、文献サーベイの結果、Balassa-Samuelson効果は通貨先物投資からのリターンを説明できないことが判明した。多国間ファクターモデルについて、それを含むより広範な文献のサーベイを開始した。本多は、株式市場とその他の資産やマクロ変数との相互関係の検証に関して、株式市場のボラティリティが非常に大きいことが分析を難しくする問題を回避し、株式市場の特徴をより正確に把握するために、パラメータの推定誤差の影響が比較的小さい大域的最少分散ポートフォリオの特徴を分析した。今後は、最少分散ポートフォリオに注目しながら、他資産との関係について分析を進める計画である。沖本は、資産間の相互依存関係の変遷を記述できる時系列モデルの開発を行った。具体的には、Berben(2005)のモデルをコピュラという概念を用いて、拡張することを試みた。その結果、各資産の周辺的な動きをより適切な形でモデル化することに成功した。さらに、提案したモデルを国際債券市場に当てはめ、日本を除くG7国において、長期債の依存関係が強くなる半面、短期債の依存関係は強くなっていないこと、短期債と長期債の依存関係が弱まっていることなどを発見した。以上の成果は、国際的な学術雑誌であるJournal of Banking and Financeに掲載された。
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